2025年7月15日
労務・人事ニュース
令和7年5月の愛媛県有効求人倍率1.41倍
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常勤・医療業界の看護師/車通勤可/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年7月15日 09:34
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常勤・医療業界の看護師/残業なし/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年7月15日 09:34
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精神科を中心とした訪問看護求人/車通勤可/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年7月15日 09:34
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認可保育園の保育士
最終更新: 2025年7月15日 08:10
管内の雇用失業情勢(令和7年5月分)について(愛媛労働局)
令和7年5月に愛媛労働局が公表した最新の雇用統計によると、愛媛県における有効求人倍率(季節調整値)は1.41倍と、前月と同水準を維持しました。この数値は全国平均の1.24倍を上回っており、依然として企業側の求人意欲が高く、求職者よりも求人の数が上回る「売り手市場」の状態が続いていることを示しています。正社員求人倍率の原数値は1.16倍で、前年同月比では0.06ポイントの上昇となり、これで15か月連続の上昇となりました。このような背景を踏まえ、企業の採用担当者はより積極的かつ戦略的なアプローチが求められる局面に差し掛かっているといえるでしょう。
地域別に見ると、愛媛県内でもエリアによって雇用環境に違いが見られました。東予地域は1.28倍、中予地域は1.27倍、南予地域は1.30倍という結果でしたが、東予と南予では前年同月を下回り、中予では前年を上回る結果となりました。これは地域ごとの産業構造や人材流動性の違いが雇用環境に直接影響していることを意味しており、採用戦略を考えるうえではエリアごとの傾向を正確に把握することが不可欠です。特に中小企業においては、地元密着型の人材採用を意識し、地域とのつながりを生かした雇用施策が有効です。
また、新規求人倍率は2.36倍と依然として高水準であるものの、前月比では0.18ポイントの減少となり、3か月連続の低下となりました。新規求人数は10,238人で、前年同月比では2か月ぶりの減少となっています。産業別に見ると、サービス業(7.1%増)や宿泊業・飲食サービス業(6.3%増)は前年を上回った一方で、卸売業・小売業(16.2%減)、運輸業・郵便業(9.8%減)、医療・福祉(3.7%減)、製造業(2.2%減)、建設業(0.1%減)などは前年を下回る結果となりました。このような産業ごとのばらつきは、景気の先行き不透明感や人件費高騰への企業の慎重な姿勢を反映しており、業種別の採用戦略の見直しが必要であることを示唆しています。
新規求職者数は4,345人で前年同月比4.9%の減少、有効求職者数は21,357人で2か月連続の減少となりました。このように求職者の母集団が縮小していることから、企業は求職者一人ひとりとの接点をいかに効果的に持つかが採用成功の鍵を握ることになります。特に地方においては、少子高齢化の影響で労働力人口の減少が続いており、今後ますます採用競争が激化することが予想されます。そのためには、単なる条件提示にとどまらず、企業の理念や職場環境、働く意義を伝えるストーリーテリング的な求人広報がますます重要になるといえます。
正社員の有効求人倍率が1.16倍と上昇基調にあることは、企業の長期的な人材活用意識が高まっている証拠であり、短期的な労働力の確保だけでなく、育成や定着を重視した人事戦略が必要とされています。そのため、採用担当者は「入社後の活躍」を前提にした採用フローや、オンボーディング体制の充実を図る必要があります。また、応募者が企業文化や業務内容をよりリアルに理解できるよう、職場体験やカジュアル面談など、採用プロセスに工夫を加えることも有効です。
愛媛県では、雇用情勢が全体として緩やかに持ち直しているものの、物価上昇や経済情勢の変化が雇用に与える影響に注意が必要とされています。加えて、少子高齢化による人手不足が深刻化する中で、愛媛労働局はミスマッチの解消とリスキリングによる能力向上支援に取り組んでおり、就業環境の整備や再就職支援の強化が重要視されています。企業の採用担当者にとっては、今後の採用活動においても「即戦力の確保」だけでなく、「潜在力を持つ人材を育てる」視点を持つことが不可欠となります。
さらに、パートタイム労働者の有効求人倍率は1.00倍で、前年同月から0.01ポイント上昇しました。これにより、フルタイム(1.48倍)、正社員(1.16倍)と併せて、幅広い就業形態での求人需要が存在していることがわかります。企業側としては、フレキシブルな雇用体系の構築を通じて、多様な人材が働きやすい職場環境を整えることが、今後の人材確保に直結するテーマとなるでしょう。育児や介護、ダブルワークなど多様な事情を抱える人材にも門戸を開く姿勢が、企業の社会的信頼性や求職者からの選好度を高めるポイントとなります。
このように、令和7年5月における愛媛県の有効求人倍率1.41倍という数値には、雇用の需給バランスの変化だけでなく、企業の人材戦略に直結する複雑な要素が内包されています。採用担当者は表面的な数字だけでなく、その背後にある雇用市場の動向、求職者の行動傾向、地域・産業ごとの違いを丁寧に読み解き、自社にとって最適な採用方針を設計していく必要があります。
⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ