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2025年7月14日

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令和7年5月の鳥取県有効求人倍率1.28倍

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鳥取県内の雇用情勢(令和7年5月分)(鳥取労働局)

令和7年5月に公表された鳥取県の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は1.28倍となり、前月から0.06ポイント低下したことが明らかになりました。この有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、今回の数字は1人の求職者に対して1.28件の求人が存在している状況を意味しています。企業の採用担当者にとって、この倍率の変動は自社の人材確保戦略に大きな影響を与えるため、丁寧に内容を読み解き、実務に反映させることが求められます。

今回の結果において、有効求人倍率の低下は、有効求人数が12,613人と前月比2.6%減少した一方、有効求職者数が9,873人と前月比2.1%増加したことによるものです。つまり、求人がやや減る一方で、仕事を探す人が増えたことで倍率が下がったという構図です。これは、雇用市場において需給バランスの変化が起きているサインであり、採用活動において新たな局面を迎えていることを示しています。

求人側の動向を見ると、特に注目すべきは新規求人数の減少です。5月の新規求人数は4,287人で、前年同月と比べて526人、率にして10.9%の減少となりました。産業別では、運輸業・郵便業や卸売業・小売業で求人が増加した一方、宿泊業・飲食サービス業や医療・福祉、製造業などで大きく求人が減少していることが分かっています。たとえば宿泊業・飲食サービス業では前年同月比で40.7%もの大幅な減少、製造業では16.0%減少、医療・福祉でも5.7%の減少という結果が出ています。これらの業種においては、物価上昇や原材料費の高騰、人件費の増加といった経済的な要因が影響している可能性が高く、採用の慎重化が進んでいると考えられます。

一方で、求職者側の動きも見逃せません。有効求職者数の増加は、必ずしも求職意欲の高まりだけを意味するものではなく、離職や雇い止めといった外的要因によって求職活動を余儀なくされている層の存在も考えられます。とりわけ5月の統計では、新規求職者のうち離職者の数が増加傾向にあり、今後もこの流れが継続する可能性があります。

こうした状況下で企業の採用担当者が取るべき姿勢は、「採用の質とスピードの両立」にほかなりません。まず、求人票の見直しが急務です。給与や勤務時間、休日制度など基本的な労働条件の明示に加え、職場環境、キャリアパス、福利厚生、教育体制といった「働く魅力」を分かりやすく伝えることが、応募意欲を高める鍵になります。求人内容に曖昧さや魅力の欠如があると、求職者の選択肢から簡単に除外されてしまう時代です。

次に重視すべきは「採用プロセスの効率化」です。選考期間が長すぎると、その間に求職者が他社へ流れてしまう可能性が高くなります。応募から面接、内定通知までのフローを可能な限りスムーズに設計し、迅速に対応することで、求職者の心をつかみやすくなります。また、採用後の定着支援として、入社後の研修制度やメンター制度、定期面談などを取り入れることも、早期離職の防止に大きな効果をもたらします。

地域性にも注目すべきです。鳥取県は他地域と比べて人口規模が小さく、若年層の流出も課題となっています。このため、地域内での人材獲得が難しい場合には、県外やオンライン経由での人材募集も検討する必要があります。近年では、地方移住を希望する層やテレワーク希望者をターゲットとした採用施策も増加しており、鳥取県の自然環境や生活のしやすさといった地域資源を活用したアプローチも有効といえるでしょう。

また、近年拡充が進んでいるハローワークインターネットサービスの活用も欠かせません。オンライン上での求職登録や求人検索が当たり前になった今、求人情報を視覚的にわかりやすく伝える工夫が求められます。特にスマートフォンで閲覧するユーザーに配慮した構成や、動画・写真を用いた企業紹介など、デジタルコンテンツを通じたブランディングが新たな採用力につながる時代です。

今後の雇用環境については、物価上昇や経済変動の影響を受けやすい業種を中心に不透明な部分も多く、採用活動においても慎重さと柔軟性を両立させることが不可欠です。一方で、労働市場の変化に敏感に対応し、環境に即した採用方針を打ち出す企業こそが、良質な人材の確保に成功する可能性が高くなるといえるでしょう。

⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ

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