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2025年7月13日

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令和7年5月の新潟県有効求人倍率1.43倍

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一般職業紹介状況(令和 7 年 5 月分)(新潟労働局)

令和7年5月に新潟労働局が発表した最新の雇用情勢によると、県内の有効求人倍率は1.43倍となり、前月と比較して0.07ポイントの減少が見られました。この数値は、求職者1人に対して約1.4件の求人があることを意味し、全国平均の1.24倍を上回っているとはいえ、労働市場における需給バランスに揺らぎが生じている兆候が読み取れます。企業の採用担当者にとっては、このような変動を踏まえた柔軟かつ戦略的な対応が、今後の人材確保において欠かせない要素となります。

特に注目すべきは、新規求人倍率が2.09倍と依然として高水準にあるものの、前月比では0.38ポイントという比較的大きな下落を記録している点です。これは企業側が新たな求人を出すペースを鈍らせていることを示しており、経済の先行き不透明感や物価高の影響などを背景に、採用に慎重な姿勢が広がっていることがうかがえます。また、有効求人数は49,005人で前月比0.7%の減少、新規求人数は16,385人で前月比10.3%の減少と、全体的に求人活動が一時的に停滞していることが明らかとなっています。

このような状況の中で、企業が採用活動をどのように展開すべきかは、非常に重要なテーマとなります。まず必要なのは、自社がどのような人材を求めているのかを明確に定義し、求人内容をより具体的かつ魅力的に打ち出すことです。求人倍率が高いにもかかわらず人が集まらない場合、その原因の多くは求人票の内容や条件が求職者のニーズと乖離していることに起因します。したがって、仕事内容や待遇面、勤務時間、勤務地、福利厚生といった基本的な情報を丁寧に記載するだけでなく、働きやすさや職場の雰囲気といったソフト面も積極的に発信することが求められます。

さらに、正社員の有効求人倍率に着目すると、新潟県では1.33倍と、前年同月と同水準であるものの、求人・求職者ともに減少傾向にあることが分かります。特に正社員の有効求人数は28,002人で前年同月比2.6%減、正社員の有効求職者数も21,066人で同じく2.6%減と、いずれも減少傾向が続いています。この数値は、採用する側・される側双方の動きが鈍化していることを意味しており、企業にとっては他社よりも一歩先を行く情報発信と人材対応が求められる時期です。

例えば、新潟県内では離職者の求職活動が活発化しているというデータもあります。新規求職申込者のうち離職者は2,569人で、前年同月比3.0%の減少とはいえ、引き続き一定の層が職を求めていることが分かります。これらの人材に対して、即戦力としての採用を図るだけでなく、再教育や職場適応の支援を前提とした中長期的な人材育成計画を打ち立てることも視野に入れるべきです。特に経験豊富なミドル層やリスキリング意欲のある求職者に対しては、受け入れ体制を整えることが企業の競争力向上にもつながります。

産業別の動向をみると、建設業や運輸・郵便業では前年同月比でそれぞれ1.9%の新規求人増が見られましたが、宿泊業・飲食サービス業では20.9%減、卸売・小売業で15.2%減、サービス業で10.8%減、製造業で10.1%減と、多くの業種で採用活動の縮小が顕著です。こうした状況下で企業が他業種との人材争奪戦を制するためには、業界特有の働きがいや将来的なキャリアパスの提示が不可欠です。待遇面での競争が難しい中小企業であっても、研修制度やキャリアアップ支援、社内コミュニケーションの充実など、非金銭的な魅力を訴えることは十分可能です。

有効求職者数の動向にも注意が必要です。5月の有効求職者数は34,171人で、前月比3.7%の増加と4か月ぶりの上昇となりました。新規求職申込件数も7,840人で前月比6.0%増加しており、求職活動の意欲が徐々に回復している様子が見て取れます。しかし、前年比では依然として減少傾向にあり、求職者数が限られている中での採用は、より精緻なマッチング能力を企業側に求める状況です。採用担当者は、単に数を集めるのではなく、質を重視した採用方針にシフトすべき局面に差し掛かっていると言えるでしょう。

特に、正社員の就職件数が前年同月比で13.7%減と、15か月連続で減少している点は見逃せません。この背景には、企業側の採用基準の厳格化、求職者側の希望条件の多様化などが複合的に作用していると考えられます。このギャップを埋めるためには、面接や選考の過程で求職者の意欲や可能性を正しく評価する柔軟な視点が必要です。また、採用後の育成体制が整っていることを明確に示すことで、条件だけでは測れない「働きたい企業」としての信頼を獲得することも可能です。

結論として、令和7年5月現在の新潟県の有効求人倍率1.43倍という数値は、採用担当者にとって人材獲得の機会であると同時に、採用の難易度が一層高まっていることを意味します。企業は自社の魅力を最大限に引き出す情報発信を強化するとともに、業種特性や地域性を踏まえた丁寧な採用活動を行うことが不可欠です。即戦力採用だけでなく、未経験者やキャリアチェンジ希望者を対象とした育成型採用への転換も一つの有効な選択肢となるでしょう。雇用情勢が揺れる今こそ、戦略的かつ誠実な人材確保の取り組みが、企業の持続的成長を支える基盤となるのです。

⇒ 詳しくは新潟労働局のWEBサイトへ

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