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2025年7月12日

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令和7年5月の福島県有効求人倍率1.3倍

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令和7年5月分 最近の雇用失業情勢(福島労働局)

令和7年5月、福島県における有効求人倍率は1.30倍(季節調整値)と公表され、前月と同水準を維持しました。この数値は、全国平均の1.24倍を上回っており、求人数が求職者数を依然として上回っている状況を示しています。企業の採用担当者にとっては、数字の裏にある実態を正確に把握し、これを採用戦略にどう反映させるかが、今後の人材確保において極めて重要な判断材料となります。

福島県の雇用情勢は、一部の地域で求人倍率が1倍を下回る傾向が見られるものの、全体としては堅調に推移しており、職種別や業種別でのばらつきが顕著です。特に建設業や医療・福祉分野では新規求人が増加傾向にあり、建設業は前年比で16.3%増の1,931件、医療・福祉では11.6%増の2,605件に達しました。一方で製造業は14.3%減、宿泊業・飲食サービス業では22.6%減と、厳しい状況に直面しています。こうした業種別の動向は、単純な求人倍率の数字では捉えきれない現場のリアルを物語っています。

企業の採用担当者にとって、こうした求人倍率の動向を正しく理解することは、自社の採用活動を見直すきっかけになります。例えば、福島県内ではハローワーク須賀川において有効求人倍率が0.88倍と、3カ月連続で1倍を下回っており、地域ごとの求人と求職のミスマッチが深刻化しています。このような地域特性に目を向けることなく、全国平均や県全体の数字だけを見て採用方針を立ててしまえば、結果としてターゲットとなる人材との接点を失うことになりかねません。

加えて、正社員の有効求人倍率に注目することも重要です。令和7年5月時点での正社員有効求人倍率は1.02倍と、前年同月比で0.07ポイント上昇しています。この数字は、企業が長期的な人材確保を目的に、正社員としての雇用を積極的に打ち出していることを示しており、求職者にとっては安定した雇用を求める傾向がさらに強まっていることを反映しています。採用担当者としては、単なる人手不足を埋めるための雇用ではなく、将来的に企業を支える中核人材の確保を視野に入れることが求められます。

ここで注意すべき点は、有効求人倍率が高いということが、必ずしも「人材が確保しやすい」ことを意味しないという現実です。むしろ、求人の数に対して求職者の数が追いついていない状況であり、人材獲得競争が激化していると理解すべきです。とくに医療・福祉分野では求人件数が多いにもかかわらず、求職者数の伸びが伴っていないため、採用難易度が非常に高い状態が続いています。このような状況では、従来の募集方法や待遇条件だけでは十分な応募を得られず、採用活動の見直しが迫られます。

また、企業規模別に見ても、従業員数が29人以下の事業所では、新規求人件数が全体の67.2%を占めており、採用競争において中小企業が担う役割が極めて大きくなっています。中小企業は大手企業と比較してブランド力や報酬面での競争力に限界があるため、働きやすさや地域とのつながり、やりがいといった非金銭的価値の訴求がより一層重要になります。こうした視点を踏まえ、採用担当者は求人票の記載内容から面接時の対応に至るまで、自社の魅力を最大限に伝える工夫を求められます。

さらに、インターネットを活用した求人活動の強化も不可欠です。近年、ハローワークインターネットサービスの機能拡充により、オンライン上での求職登録や応募が一般化しつつあります。採用活動もこれに合わせて、オンライン求人への情報発信力や応募者とのデジタルコミュニケーションスキルを高めることが不可欠です。特に若年層の求職者はスマートフォン経由での情報収集が主流であり、求人情報が見つかりやすく、かつ魅力的に伝わるような工夫が必要になります。

今後の採用環境において、求人倍率だけに目を向けるのではなく、「誰に」「どのような形で」「どのような職場で働いてもらいたいか」という採用の本質を見つめ直すことが、成功する人材確保の第一歩となります。求職者のニーズや価値観の多様化が進むなかで、採用担当者に求められるのは、時代の変化に柔軟に対応しながら、戦略的かつ持続可能な採用を実現することです。

福島県の最新の求人動向を通じて見えてくるのは、単なる人手不足ではなく、適材適所を実現するための“人材戦略”の必要性です。今後、競争がさらに激化する中で、採用のあり方そのものが企業の将来を左右する重要なファクターとなることは間違いありません。

⇒ 詳しくは福島労働局のWEBサイトへ

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