労務・人事ニュース

令和7年 新温泉町 林業担い手育成支援事業

持続可能な森林経営と環境保全の実現には、林業を担う人材の確保と育成が不可欠です。こうした課題に対応するため、新温泉町では「林業担い手育成支援事業」を実施しています。本制度は、将来の林業を支える新規就業者に対して、その育成にかかる研修費や安全装具の整備費を補助することで、地域の森林資源を守り、林業の振興を目指す取り組みです。

この支援事業の対象となるのは、森林組合や新温泉町内に住所を有する林業経営体であり、主に新たに林業に就業した者の支援を目的としています。補助の対象となる新規就業者は、年間おおむね150日以上林業に従事している、あるいは従事することが確実に見込まれる方であり、就業から3年以内であること、そして他の補助制度を利用していないことが条件とされています。

支援の対象となる経費は主に二つに分かれています。一つは、林業や木材産業に必要な資格を取得するための研修費と旅費であり、これらに対しては費用の全額、すなわち補助率100％で支援されます。もう一つは、安全装具の購入に関する補助です。これは新規就業者に使用させるために新品で購入される林業機械や器具、類似する物品が対象で、補助率は50％となっています。ただし、安全装具補助の上限は1人あたり3万円と定められており、予算の効率的な活用が図られています。

申請に際しては、各種書類の提出が求められています。具体的には、補助金の交付申請書、収支予算書、育成支援事業計画書、住民票や履歴書、そして就労を証明する書類などが必要となります。また、補助事業が完了した際には、実績報告書の提出が義務付けられており、その中には収支決算書、成果書、領収書の写し、資格取得や研修受講を証明する資料などが含まれます。これらの書類により、補助金の適正な使用と育成事業の進捗がしっかりと確認されます。

この補助事業は、新温泉町が実施する「森林環境保全事業補助金」の一環として位置づけられており、森林環境譲与税を主な財源としています。同事業には、森林整備支援、担い手育成支援、木質バイオマス利用支援という三つの柱があり、それぞれが町内の森林資源の有効活用と持続可能な管理を目的としています。中でも担い手育成支援事業は、林業の将来を見据えた極めて重要な施策であり、地域に根ざした人材の確保と定着に向けて具体的な後押しを行うものです。

現在、林業は高齢化や人手不足といった構造的な課題に直面しています。これらの問題を克服し、次世代へと知識と技術を継承していくには、地元で働く意思のある人材を計画的に育成していく必要があります。特に、新規就業者が早期に業務に慣れ、安全に作業を行うための研修と装備の整備は極めて重要です。この制度では、経済的なハードルを下げることで、未経験者が林業の世界へ一歩を踏み出す機会を広げています。

地元に根付いた林業経営体や森林組合がこの制度を活用することで、地域全体としての林業力の底上げが図られると同時に、地域経済の活性化にもつながります。今後、林業における人材の定着や安全管理体制の強化を目指すうえで、本制度の活用は欠かせない手段となっていくでしょう。

⇒ 詳しくは新温泉町のWEBサイトへ