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2025年8月15日

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医療事故報告は3,309件に到達、厚労省が安全対策をさらに強化へ

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令和7年版厚生労働白書 第2部 第6章 国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現(厚労省)


この記事の概要

2025年版の厚生労働白書では、団塊の世代が75歳以上となることで急増する高齢者人口に対応し、将来にわたって持続可能な医療・介護体制の構築を目指す施策が詳細に示されました。地域の医療・介護体制を強化するための基金活用や各種支援制度の充実、医療計画のPDCAサイクルの推進など、各種対策が多角的に展開されています。


日本の医療・介護制度は、国民皆保険制度と2000年に導入された介護保険制度により、世界でも類を見ない高水準の体制が整ってきました。しかし、急速な少子高齢化の進行により、医療・介護の需要はますます複雑かつ多様になっており、それに対応する新たな体制の構築が急務となっています。特に2025年には団塊の世代がすべて75歳以上を迎えるため、高齢者人口の急増とともに生産年齢人口の減少が進み、社会全体の支え手が少なくなるという深刻な課題が浮かび上がっています。

こうした背景を踏まえ、国は「地域医療介護総合確保基金」を活用した財政支援を拡充。各都道府県において地域の実情に応じた医療・介護計画を策定し、それに基づいた事業を実施しています。都道府県はその成果を毎年評価し、基金の有効活用が促されています。さらに、急性期・回復期・慢性期など病床の機能分化を推進し、限られた医療資源を効率的に配分する仕組みを整えることで、質の高い医療提供を維持しようとしています。

救急医療や小児医療、災害医療への対応も強化されており、ドクターヘリは2025年3月末時点で全国46都道府県に57機が導入済みです。また、小児救急の不安に対応するため、#8000事業が全都道府県で実施され、2023年度には年間124万件を超える相談が寄せられました。こうした数字は、医療へのアクセスの向上と国民の不安解消に寄与しています。

新興感染症への備えも進んでいます。コロナ禍での教訓を活かし、都道府県は医療機関と医療措置協定を締結し、平時から約4.9万床の病床と4万機関の発熱外来医療機関を確保しています。災害時にも即応できる体制が整備され、DMATやDPATといった専門チームの研修も充実化しています。

また、人生の最終段階における医療・ケアについても、自宅での療養を希望する人が増える中、在宅医療の需要に対応するための制度整備が進められています。地域の実情に合わせて医療機関が連携し、住み慣れた環境で尊厳をもって生きることを支える体制が強化されています。

医療事故への対応も見逃せません。2025年2月末時点で3,309件の医療事故報告がなされ、うち2,914件で院内調査結果が報告されています。調査結果は、医療の質と安全性を高めるための資料として活用され、制度の改善に繋げられています。

さらに、地域医療構想の実現に向けた取り組みとして、病床機能の再編や医療機関の統合などが進行中です。厚生労働省は、都道府県における分析体制を強化し、2025年には13道県23区域を「重点支援区域」に指定。再編を進める計画を支援しています。

2040年を見据えた「新たな地域医療構想」では、医療と介護の連携、外来・在宅医療の充実、人材の確保などを柱に、すべての世代が安心して生活できる体制づくりが進められています。都道府県には医療機関機能の報告が義務付けられ、必要病床数の整合性を図るなど、制度的な裏付けも強化されています。

このように、国は持続可能な医療・介護提供体制を実現するために、財政支援、制度改革、人材育成の三本柱で着実に対策を講じています。今後のさらなる人口動態の変化や社会構造の変化に対応しながら、地域の医療資源を最大限に活用し、誰もが必要なときに適切な医療・介護を受けられる社会の実現が求められています。

この記事の要点

  • 2025年に団塊の世代がすべて75歳以上となることへの対応が急務
  • 地域医療介護総合確保基金による事業支援が全国で実施中
  • 小児医療相談件数は124万件超、ドクターヘリは全国46都道府県に配備
  • 新興感染症対策として約4.9万床と4万機関の医療体制を整備
  • 2025年2月末時点で医療事故報告件数は3,309件
  • 2040年を見据えた新たな地域医療構想が策定中
  • 重点支援区域に13道県23区域を指定し再編計画を支援

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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