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2025年7月9日

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CARATS2040が描く2040年の航空社会、6つの方向性で安全・利便性・持続性を確保

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「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン2040」を公表 ~ 2040年を見据えた革新的な航空交通システムへの挑戦 ~(国交省)

令和7年6月24日、国土交通省は「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン2040(CARATS2040)」を公表しました。このビジョンは、2040年を見据えた革新的な航空交通システムの構築を目的として策定されたものであり、近年の航空需要の増加、地球環境問題、そしてデジタル技術の飛躍的進化といった時代の変化に的確に対応するための道標として位置づけられています。

CARATS2040は、2010年に策定された前ビジョン「CARATS」に基づく各種取り組みの進捗や成果を踏まえつつ、今後20年余りにおける航空交通分野のさらなる変革を主導するものです。従来のビジョンにより、国内の管制空域の再編や新たな運用方式の導入が進められ、安全性や利便性の向上といった成果が得られてきました。しかし、技術革新や社会構造の変化が加速する中で、より一層の柔軟性と先進性を備えたシステムの構築が求められています。

新たなビジョンでは、6つの方向性が中核的な柱とされています。第一に「安全・安心対策の強化」が掲げられており、AIや音声認識技術、監視センサーなどの最先端技術を活用したシステムによって、航空機の滑走路進入時の誤りを事前に検知し、パイロットや管制官に警報を発する体制の整備が進められています。こうした対策は、空港運用の安全性を大幅に高めることが期待されています。

第二に「軌道ベース運用(TBO)」の実現があります。これは、航空機の飛行軌道を出発から到着までリアルタイムで管理し、航空路の混雑緩和と運航の効率化を図る取り組みです。例えば、最適な降下経路で連続的に降下するCDO(Continuous Descent Operations)の実現により、エンジンをアイドル状態で保ったまま着陸することで燃料消費を抑え、騒音も軽減されます。すでにデータリンクを用いて必要な情報を航空機に送信し、運航支援を強化する技術開発が進んでいます。

第三には「持続可能な航空輸送の実現」が掲げられ、環境への負荷を最小限に抑えた航空システムの構築が目指されています。飛行経路の最適化や高高度フリールーティングの導入によって、気象情報などをもとに航空会社が最適な経路を自ら設定する柔軟な運航が可能となります。これにより、従来の定められた経路を飛行する方式に比べ、より短時間・省エネルギーでの運航が実現できます。

第四の柱は「航空モビリティの多様化に対応した空域の有効活用」です。都市間輸送や離島間輸送、災害時の物資輸送、観光目的での遊覧飛行といった新たな航空モビリティの登場に伴い、従来の航空機とドローンや空飛ぶクルマなどの新技術が安全に共存できる統合的な空域運用の構築が求められています。短期的には空域の分離運用を導入し、中長期的にはそれらが自然に融合する統合システムへの移行が進められる予定です。

第五に「レジリエンスの強化」が重要視されており、自然災害、サイバー攻撃、システム障害など不測の事態に対して、航空交通システム全体の冗長性を確保することが求められています。複数の通信手段や航法装置の重層的な整備、GNSS信号の認証技術などにより、トラブル時の影響を最小限にとどめるシステムの構築が進行中です。

第六の取り組みは「国際連携の強化と海外展開の促進」です。この点では、日本国内の知見や技術を積極的に海外に発信し、ODAやJICAの技術協力プロジェクトなどを通じて航空インフラ整備を支援する動きが活発化しています。海外の空港に対するレーダー整備支援や、航法装置の保守技術の技術移転、人材育成に至るまで、包括的なパッケージ支援が検討されています。

これらの方向性のもと、CARATS2040では、航空交通システムのあらゆる要素がデジタルネットワークで相互に接続される将来像を描いています。IPネットワークによる航空機と地上施設の連携、リアルタイムの気象情報共有、管制塔と航空機間の双方向デジタル通信の導入などを通じて、安全かつ効率的な運航が可能となる時代が目前に迫っています。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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