2025年5月3日
労務・人事ニュース
DXを担うのは誰か、インフラ×テック領域で企業に求められる採用戦略の再構築
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最終更新: 2025年5月2日 22:31
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「国土交通省インフラ分野のオープンデータの取組方針」を策定しました
~「データの活かし方」の変革~(国交省)
2024年4月17日、国土交通省は「国土交通省インフラ分野のオープンデータの取組方針」を正式に策定し、今後の社会資本整備や公共サービスの在り方に大きな転機をもたらす方針を打ち出しました。この取組は、インフラ分野におけるデジタル変革(DX)をさらに加速させるための重要な一歩であり、データの「持つだけ」から「活かす」へとパラダイムを転換するものです。国土交通省では2020年より「インフラ分野DX推進本部」を設置し、技術革新や社会変化への対応として、データとデジタル技術を基軸に、より安全・安心で豊かな暮らしを実現するための業務変革を継続的に進めてきました。
今回の方針では、特に「データの活かし方の変革」がキーワードとなっており、これまで蓄積されてきた膨大な行政情報や技術データを、誰もが利用できる形でオープン化し、それをもとに新たなサービスやソリューションが創出される、いわば「データを起点とするイノベーションの連鎖」を目指す内容が中心に据えられています。具体的には、行政が保有するデータを機械判読可能な構造で公開し、APIを通じて簡便に取得できる環境を整備し、さらに民間企業や研究機関とのデータ連携を積極的に推進していく構想です。
このような方向性の背景には、従来のインフラ整備が抱えていた「閉じた情報体制」に対する反省と、時代の要請に応じた透明性・効率性の確保があります。たとえば、橋梁や道路といった社会インフラの維持管理においては、点検や修繕履歴、使用部材の特性、過去の工事履歴などの詳細な情報が省庁や自治体ごとに分散・個別管理されてきました。こうした情報を一元的に公開し、再利用可能な形で提供することで、民間のエンジニアやスタートアップ企業がそれらのデータを活用し、AIによる劣化予測モデルや省エネ型の設計支援ツールなど、新たな技術の開発が可能となるのです。
さらにこのオープンデータ方針では、誰でも必要な情報にアクセスしやすい環境を整えることが求められています。国土交通省は、独自の「国土交通データプラットフォーム(DPF)」との連携を推奨しており、新たに整備されるシステムについては、原則としてDPFとの接続を想定した設計が求められるとされています。これにより、利用者は1つのポータルを通じてさまざまな行政情報にアクセスできるようになり、これまで部局ごとに探し出す必要があった煩雑な情報検索の手間が大幅に軽減されます。
このような行政主導のデータ開放政策は、企業活動、とりわけ採用戦略にも影響を及ぼすことが期待されます。まず、データ利活用の機会が増えることで、ITスキルやデータ分析能力を持つ人材の需要が高まり、それに応じた採用計画の見直しが求められるでしょう。インフラ領域におけるDXは、土木や建築といった従来の専門領域に加えて、AI、IoT、GISといった分野に精通する人材がプロジェクトを牽引する場面が増えていくことが予想され、企業の人材要件も複雑化、多様化していきます。
また、オープンデータの拡充によって、地方自治体や中小企業にもデジタル技術を活用する機会が拡がるため、地域での雇用創出や地方人材の確保にも好影響が生まれる可能性があります。たとえば、地方の土木建設会社が、国交省の提供する橋梁点検データを活用して自社のメンテナンスサービスを高度化するなど、地域密着型のイノベーションが現実のものとなるでしょう。こうした環境において、企業は従業員の再教育やリスキリングに対する積極的な投資が求められ、採用と育成を一体化させた人材戦略の再構築が必要不可欠となります。
さらに、国交省のデータ公開方針には、「施策立案への活用」という目的も含まれており、企業が業界の動向や政策の方向性をリアルタイムで把握し、意思決定に役立てることが可能となります。これは、公共事業に携わる企業にとっては競争力強化のチャンスであり、国の施策に連動したサービスや商品開発に取り組む上での大きなアドバンテージとなるでしょう。
このように、「国土交通省インフラ分野のオープンデータの取組方針」は、デジタル技術の社会実装と公共インフラの効率的な運用を推進するものであり、ひいては民間企業の経営戦略や人材戦略、さらには地域活性化の在り方にも直接的な影響を与える重要な施策と位置づけられます。今後は、政府と民間、都市と地方、大企業と中小企業といった多様な主体がデータという共通基盤を通じて連携し、持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出すことが期待されています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ