労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • JCMクレジット管理を強化:新省令公布で透明性向上へ

2025年2月14日

労務・人事ニュース

JCMクレジット管理を強化:新省令公布で透明性向上へ

改正地球温暖化対策推進法に基づく国際協力排出削減量(JCMクレジット)の記録等に関する省令等を公布しました(経産省)

2025年1月31日、環境省および農林水産省は、改正地球温暖化対策推進法に基づき「国際協力排出削減量(JCMクレジット)」の記録や管理に関する省令を公布した。これにより、日本とパートナー国が協力して進める二国間クレジット制度(JCM)の運営体制がさらに強化される。

この省令は、2024年(令和6年)の第213回国会で成立した改正法(令和6年法律第56号)に基づくもので、JCMクレジットの発行、口座簿の管理、指定実施機関の設立などを明確に定めることを目的としている。JCM制度は、脱炭素技術やサービスの普及を通じて温室効果ガスの排出削減を図り、日本企業の海外進出と日本の削減目標達成の両方に貢献する枠組みである。今回の省令公布により、その運用がより円滑に進むことが期待される。

新たに制定された省令は3つに分かれており、第一に「国際協力排出削減量の記録等に関する省令」がある。これは、JCMクレジットの発行に関する具体的な手続きを定めたもので、発行申請時に求められる事業設計書や証拠書類の提出方法を規定している。また、JCMクレジットの削減量を認定する検証機関の認定要件についても明確化され、十分な知識を有する機関のみが検証を担うことができるようになった。

次に「国際協力排出削減量口座簿の運営等に関する省令」が制定され、JCMクレジットの管理がより透明化される。口座簿に記録されるクレジットの移転条件や、差し押さえなどの法的制限に関する取り扱いが明確になった。また、クレジットを保有する法人名や所在地、口座区分ごとの保有量の公表も義務付けられ、クレジット市場の透明性向上が図られる。さらに、指定実施機関による手数料の徴収ルールも定められ、運営の安定性が確保されることとなる。

最後に「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく指定実施機関に関する省令」では、JCMクレジットの管理を担う指定実施機関の設立や運営に関する規定が設けられた。具体的には、指定を受けるための申請手続きや、事務の一部を外部委託する際の承認基準が示されている。また、事業計画や役員の選任に関するルールも定められ、機関の適正な運営が求められることになる。

この改正法および新たな省令の施行日は2025年(令和7年)4月1日となっており、それまでに関係機関が準備を進める必要がある。また、省令の策定にあたり、2024年12月6日から2025年1月5日までの間にパブリックコメントが実施され、10件の意見が寄せられた。この意見を踏まえ、一部の内容が調整されており、意見募集の結果は関連機関のウェブサイトで公開されている。

今回の省令公布により、JCMクレジットの運用が一層強化され、日本とパートナー国の協力による排出削減の枠組みが整備されることとなる。これは、国際的な気候変動対策の推進にもつながり、日本の脱炭素社会実現に向けた重要な一歩となるだろう。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ