2024年11月20日
労務・人事ニュース
SNS投資詐欺、50代男性に多発!被害額703億円を超える実態と背景
令和6年9月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁)
2024年9月末時点での「SNS型投資詐欺」と「ロマンス詐欺」の状況について、非常に深刻な実態が明らかになっています。今年1月から9月の間で認知されたSNS型投資・ロマンス詐欺の件数は、前年同期と比較して5232件増加し、総計7662件に達しました。また、被害総額は約974.3億円に上り、前年同期比で711.7億円の増加が見られます。このうち、「SNS型投資詐欺」が全体の66.4%を占め、5092件で約703.4億円の損失、「SNS型ロマンス詐欺」は2570件で約271.0億円の被害額となっています。
SNS型投資詐欺は、SNS上で投資話を持ちかけ、関係を深めながら信頼を築く手法で、投資名目や出金手数料などの名目で金銭をだまし取るケースが多発しています。一方、SNS型ロマンス詐欺は、同様にSNS上で知り合い、親密な関係を装いながら恋愛感情や親近感を利用し、金銭をだまし取る手法です。男女問わず、多くの人々が被害に遭っており、社会的な問題として取り組みが急務とされています。
具体的には、SNS型投資詐欺の検挙件数は129件で、逮捕者数は60人に上っています。検挙された中では投資詐欺が76件、ロマンス詐欺が53件となっています。また、被害者の属性として、SNS型投資詐欺の被害者は男性が54.1%(2757人)で、女性は45.8%(2332人)となっており、年齢層では50代(29.0%)および60代(23.2%)が多くを占めています。被害額の分布を見ると、被害総額500万円以下のケースが最も多く1381件、次いで1000万円以下が489件、2000万円以下が402件となっており、少額から高額まで幅広い被害が確認されています。
さらに、被害者がだまされる際に詐称された職業や身分は投資家が35.5%で最多となっており、その他著名人や会社役員など、信用を誘うような職業が詐称されています。主に使用されたSNSはフェイスブックが19.6%、LINEが19.2%、インスタグラムが17.4%と、普及率の高いプラットフォームが利用されています。最も使用される金銭の引き渡し方法としては振り込みが87.6%、暗号資産が10.2%と、デジタル決済の利用が顕著に見られます。
一方で、SNS型ロマンス詐欺の被害者は男性が62.1%と多数を占めており、特に40代から60代の被害が目立ちます。被害額も500万円以下が最も多く、1000万円以下が273件、2000万円以下が241件となっています。詐称された職業についても、軍関係者や医療関係者が詐称されるケースが見られ、信頼を得やすい職業を悪用している点が特徴です。また、主な接触手段としてはマッチングアプリが35.5%、フェイスブックが23.2%、インスタグラムが15.9%で、SNSの利便性を悪用して親密な関係を装い、金銭を引き出しています。
これらの詐欺は、インターネットとSNSの急速な普及に伴い、悪用される形で被害が増加していると考えられます。詐欺師たちは、SNSを通じて一見信頼できる情報を提供し、被害者との距離を縮める手口を用います。特に、特定の年齢層がターゲットとなりやすく、詐欺の手法もより巧妙化しています。このような背景から、犯罪の検挙と抑止には、インターネットリテラシーの向上が欠かせません。さらに、SNS企業やプラットフォーム運営者の協力が必要不可欠です。
警察当局は、SNSを通じた詐欺被害を未然に防ぐため、警戒を呼びかけるとともに、デジタルリテラシー向上のための教育活動も進めています。SNS上での不審なメッセージや投資話には十分な注意が求められます。また、金融機関や決済サービス提供者も、振り込みや暗号資産の利用に関する警告を強化し、利用者の安全を確保するための対策を講じることが重要です。迅速な通報と協力体制を強化することで、SNS詐欺の被害を抑止し、安心して利用できるインターネット社会の構築が求められています。
このように、SNSを利用した投資詐欺およびロマンス詐欺は被害者の経済的損失だけでなく、心理的な影響も大きく、被害回復には長い時間と多くの支援が必要です。企業や各団体は、この深刻な問題に対して、顧客への啓発活動やSNS運営方針の見直しを検討することが求められます。また、こうした詐欺の抑止には、顧客が安心して金融サービスを利用できるよう、セキュリティとサポート体制の充実が不可欠です。被害者支援や情報提供の強化を図り、社会全体で詐欺に対抗していく姿勢が望まれます。
⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ