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2025年4月23日

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TNFD対応の第一歩、投融資先とのエンゲージメント強化でネイチャーポジティブを実現

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「TNFD提言に沿った自然関連情報分析ガイダンス (金融機関向け)-2024年度版-」の公表について(環境省)

2025年3月31日、環境省は「TNFD提言に沿った自然関連情報分析ガイダンス(金融機関向け) -2024年度版-」を公表しました。このガイダンスは、脱炭素社会の実現に向けて金融機関が担うべき新たな役割を明確に示したものであり、特に地域金融機関にとって、ネイチャーポジティブ経済への移行をチャンスと捉えるための指針として極めて重要です。国際的に注目されるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づいて策定されており、自然資本の保全と持続可能な金融の両立を目指す取り組みの中心に据えられています。

本ガイダンスの背景には、2022年のCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」ターゲット15があります。ここでは、特に大企業や金融機関が生物多様性に関わるリスクや依存度を評価・開示し、持続可能な社会づくりに貢献する必要があると明記されています。日本国内でも、TCFDやSSBJによる気候関連情報の開示義務化が進む中、自然資本の保全に向けた情報開示のニーズは急速に高まりつつあります。

このガイダンスは、金融機関がポートフォリオ内に潜在する自然関連リスクと機会を的確に把握し、それを取引先とのエンゲージメントを通じて行動へとつなげていくための実践的な手順を提供しています。ガイダンスの中心となる手法は、LEAPアプローチと呼ばれるもので、Locate(特定)、Evaluate(評価)、Assess(評価深化)、Prepare(対応準備)の4段階から成り立っています。2024年度版ガイダンスでは特に前半のLocateおよびEvaluateの段階に焦点が置かれ、実際の分析事例も含めた具体的な手法が紹介されています。

例えば、金融機関はまず自らの融資・投資ポートフォリオの中で、自然資本への依存やインパクトが大きいセクターをヒートマップによって可視化し、それに基づいて優先セクターを特定します。次に、その優先セクターのバリューチェーン全体における自然資本との関係性を整理し、依存度や影響度を評価します。さらに、そのセクターに属する企業の事業所が、TNFDが定義する「要注意地域」―生物多様性に富む地域や水ストレスの高い地域など―とどのように接点を持っているかを確認します。

その結果として得られた情報をもとに、金融機関は自然関連のリスクと機会を具体的に特定し、それらが財務的にどのような影響をもたらすかを分析します。たとえば、水供給の制約が取引先の操業コストを押し上げるリスクや、自然資源に優しい製品への需要拡大を新たな市場機会として捉えるといった考察が可能になります。加えて、リーディングカンパニーや行政の動向を参考にすることで、より現実的で戦略的な判断が下せるようになります。

本ガイダンスは、自然資本の保全が単なる環境保護活動ではなく、金融リスクの軽減と市場機会の創出という二面性を持つ経営課題であることを明示しています。特に地域金融機関にとっては、地域特有の自然資本と密接に結びついた地場産業との関係性が深く、自然環境の変化は地域経済の根幹を揺るがしかねない要素です。したがって、自然関連情報の分析と開示を通じて、ネイチャーポジティブな地域社会の構築に寄与することは、金融機関自身の持続可能性確保にも直結します。

採用担当者にとって、このようなガイダンスの存在は極めて意義深いものとなります。なぜなら、近年の求職者は企業の環境対応や社会的責任に対する姿勢を重視する傾向が強まっており、とりわけ若年層ではこの傾向が顕著です。環境に配慮した経営を行っている金融機関や企業は、それだけで魅力的な職場として認識され、優秀な人材の確保にもつながります。また、こうしたガイドラインに沿った取り組みを通じて、社内での環境リテラシーが向上し、持続可能な企業運営に向けた意識が高まることも、職場全体の健全性を高める重要な要素となります。

⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ

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