2024年10月10日
労務・人事ニュース
令和6年8月 茨城県の雇用情勢、求人倍率1.31倍!製造業の求人減少と医療福祉分野の成長
県内の雇用情勢の概況(令和6年8月分)(茨城労働局)
茨城県の最新の雇用情勢について、令和6年8月時点でのデータに基づき詳細に解説します。茨城県内では、求人が求職を上回る状況が続いているものの、雇用の改善ペースがやや鈍化しているとの評価がされています。県内の有効求人倍率は季節調整後で1.31倍となり、前月とほぼ同じ水準で推移しています。この数値は全国の中では16番目の高さで、茨城県は全国的にも比較的高い求人倍率を維持しているといえます。
有効求人数は47,277人で、前月比で0.1%の増加となり、4か月ぶりの増加傾向が見られました。一方、有効求職者数は35,997人で、前月比0.4%の減少となり、2か月連続の減少が続いています。これにより、求人側が増加している一方で求職者数が減少していることが確認できます。特に正社員の有効求人倍率は1.05倍となり、前年同月と比較して0.02ポイント低下しています。これは、正社員に対する需要が依然として高いものの、その需要を完全に満たすことが難しい状況が続いていることを示しています。
また、新規求人倍率は季節調整後で2.17倍となり、前月比で0.06ポイント上昇しました。新規求人数は前年同月比で2.2%減少しており、4か月連続で減少しています。産業別に見ると、「医療、福祉」分野では9.0%の増加、「建設業」でも5.6%増加しており、それぞれ392人、73人の増加が確認されています。しかし、「製造業」では17.1%減少し、395人の減少、「卸売業、小売業」では16.7%減少して269人の減少、「宿泊業、飲食サービス業」では23.7%減少し、161人の減少が見られました。これらの業種は全体的に新規求人が減少傾向にあり、特に製造業やサービス業の低迷が目立っています。
求職側の動きに目を向けると、新規求職申込件数は前年同月比で5.3%減少しており、2か月ぶりの減少となりました。雇用形態別で見ると、パートタイムを除く常用労働者の新規求職は前年同月比で8.3%減少し、常用的なパートタイムの新規求職は0.2%増加しています。このデータから、正規雇用を希望する人々の新規求職は減少している一方で、パートタイムの求職活動がやや活発になっていることが伺えます。
失業保険に関するデータも重要です。雇用保険失業給付の受給資格決定件数は前年同月比で3.4%減少しており、受給者実人員も0.8%減少しました。雇用保険の資格喪失者数も前年同月比で5.0%減少しており、事業主都合で離職した人の数も8.8%減少しています。このデータから、雇用保険の利用者数が全体的に減少していることが分かります。
これらのデータは、茨城県内の雇用情勢が依然として需要に対して供給が不足している状況を反映しており、特に特定の産業では求人が著しく減少していることが確認されました。一方で、医療福祉分野や建設業といった分野では求人が引き続き増加しており、これらの分野は安定した成長が期待されています。
県内の雇用状況を企業の採用担当者が考慮する際、特に注目すべき点は新規求人倍率が高いことです。求人倍率が高い分野では、企業がより多くの求人を出しているため、求職者を獲得する競争が激化しています。このような状況では、給与や待遇、企業文化など、他社との差別化を図ることが重要です。また、求人を行うタイミングや地域の雇用情勢に即した柔軟な採用戦略を構築することが求められます。
採用担当者は、これらの情報を基に、特に人材不足が懸念される分野において積極的な採用活動を行うことが必要です。例えば、医療福祉分野では引き続き高い求人需要が見込まれていますが、この分野は専門知識や資格が求められるため、効果的な人材獲得が重要です。また、建設業でも求人が増加していますが、同様に資格や経験が重視される分野であるため、採用戦略には工夫が必要です。
以上のような分析を踏まえ、企業の採用担当者が今後の採用戦略を練る際には、地域の雇用情勢や業界ごとの求人動向を十分に把握し、柔軟かつ戦略的な対応を行うことが求められます。
⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ