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2025年5月12日

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令和7年3月栃木県の有効求人倍率1.26倍、人手不足時代に求められる採用戦略とは

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「労働市場のようす(令和7年3月の求人・求職の取扱状況)」を発表します。(栃木労働局)

令和7年3月における栃木県の雇用情勢について、最新の一般職業紹介状況が公表されました。これによると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍となり、前月より0.01ポイント上昇しました。この結果、栃木県における雇用環境は引き続き堅調な状況を維持していることが示されました。全国平均の1.26倍とほぼ同水準で推移しており、求職者に対して求人の方が多い、いわゆる売り手市場が継続している状況です。

有効求人数は前月比0.3%増加し、31,165人となりました。一方で有効求職者数は前年同月比で微増となり、求職者側の動きも引き続き堅調です。新規求人倍率については2.15倍となり、1人の新規求職者に対して2件以上の新規求人が存在することを意味しています。この数値は前月よりも高く、求人活動自体は活発であることを示しており、企業側の人材確保に向けた姿勢の強さが伺えます。

産業別に新規求人動向をみると、製造業では前年同月比9.4%減少しました。特に自動車関連や電子機器製造など主要産業での求人減が目立ち、国内外の経済情勢を反映していることが読み取れます。一方で、医療・福祉分野では求人が増加しており、特に介護分野での人材確保需要が高まっています。卸売業・小売業、運輸業・郵便業でも若干の増減がありましたが、サービス業(分類不能の産業)では求人が前年同月比6.7%増となり、県内のサービス需要が堅調であることが確認できました。

正社員に限った有効求人倍率は1.05倍となり、前年同月より0.05ポイント下回りました。依然として正社員を希望する求職者数に対して正社員求人が上回っているものの、倍率は微減しており、企業側の採用活動がやや慎重になっていることがうかがえます。正社員求人は企業にとって人材育成投資の側面もあり、採用にあたっての条件精査が進んでいる可能性があります。

求職者側の動きとしては、新規求職申込件数が前年同月比で2.7%減少し、8か月連続の減少となりました。特にパートタイム希望者を除いた常用雇用希望者が4.4%減少しており、フルタイム就業希望者の動きが鈍化していることが特徴です。物価上昇や社会不安などを背景に、求職活動そのものが慎重化していると考えられます。

また、就職件数に関しては、前年同月比で若干減少しており、就職率もわずかに低下しました。求人は豊富に存在するものの、求職者側とのマッチングがうまく進んでいない現状が浮き彫りとなっています。企業が求める人材像と求職者側の希望条件との間にギャップがあり、特に賃金水準や勤務地、労働条件におけるミスマッチが採用の障壁となっているようです。

地域別のデータを見ると、宇都宮市を中心に求人倍率が比較的高い一方、郡部では若干低めの倍率となっており、地域間での格差が見受けられます。特に医療・福祉分野や建設分野では慢性的な人手不足が続いており、これらの業種における採用強化が課題となっています。

全体として、令和7年3月時点の栃木県の雇用情勢は、全国平均並みの有効求人倍率を維持しながらも、業種や地域によってばらつきが見られる状況にあります。特に建設業、医療・福祉業界では人手不足が深刻であり、企業側においては採用条件の緩和や魅力的な労働条件提示など、積極的な採用戦略が求められます。また、求職者側もスキルアップや職種転換を視野に入れた柔軟な姿勢が必要となるでしょう。

今後の見通しとしては、物価上昇の影響が労働市場にも及び、企業側の採用意欲が慎重になる可能性がある一方で、慢性的な人手不足に対応するため、採用活動を強化する企業も増加すると予想されます。そのため、採用担当者には、労働市場の変動を正確に捉え、迅速かつ柔軟な人材確保戦略を講じることが求められています。

⇒ 詳しくは栃木労働局のWEBサイトへ

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