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2025年2月2日

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企業が直面する越境データ移転の課題に対応するための実践的ガイドライン

企業の国際的なデータ共有・利活用を推進するための「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」を策定しました(経産省)

2025年1月27日、経済産業省は企業が国際的にデータを共有し、有効活用する際に直面する課題に対応するため、「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」を策定しました。このマニュアルは、企業が越境データ移転に伴うリスクを把握し、適切な対応策を検討するための指針として作成されました。

背景として、IoTやデジタルトランスフォーメーション(DX)の普及、そしてサプライチェーンの透明性を求める動きが進む中、企業におけるデータの国際的な共有と利活用の重要性が増しています。一方で、各国ではデータに関する規制が強化されており、企業の国際活動に影響を与えています。これらの規制には、データの越境移転を制限するものや、政府によるデータの強制的な開示要請が含まれます。こうした動きが、企業の事業活動や競争力に影響を及ぼし、さらには日本全体の産業基盤やデジタルインフラの発展にも課題を投げかけています。

このような状況に対応するため、経済産業省は2024年5月に「産業データサブワーキンググループ」を設置し、企業が直面するリスクや取り得る対応策について検討を進めてきました。議論の成果として策定された本マニュアルは、これまで議論されてきた個人情報の保護に限らず、産業データ全般、特に非個人データにも焦点を当てています。この点で、国際的にも画期的な取り組みとなります。

マニュアルでは、越境データ管理に関するステップを三つの段階に分けて説明しています。まず、リスクの可視化を行い、次にそのリスクを評価し、最後に適切な対応策を実施するという流れです。具体的には、政府によるデータへのアクセスや開示の義務化、さらにはデータ移転に関する制限といったリスクが挙げられています。それぞれのリスクに対し、企業が取るべき具体的な打ち手について詳細が示されています。

また、このマニュアルの特徴は、DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)という日本が国際的に提唱する理念を基盤にしている点にあります。この理念は、データの自由な流通を推進しつつ、その信頼性や機密性を確保することを目指しています。本マニュアルは、この理念を具体的に実現するための手段として、企業の実務担当者が活用できる内容となっています。

対象としている業種は製造業やITサービス業など広範囲にわたります。また、企業の事業部門やリスク管理部門、法務部門など、さまざまな部門の実務担当者が利用できるよう、具体的かつ実践的な内容が盛り込まれています。このマニュアルの活用により、企業がリスクを効果的に管理し、国際的な競争力を高めることが期待されています。

さらに、本マニュアルとともに公開された関連資料には、想定されるリスクや打ち手に関する詳細な情報が含まれています。これらの資料は、企業が越境データ管理に取り組む際の重要な参考資料となります。経済産業省のウェブサイトでこれらの資料が公開されており、実務担当者が活用できる形で提供されています。今後、これらの指針が企業活動を支え、日本の産業全体の発展に寄与することが期待されます。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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