2024年2月20日
労務・人事ニュース
労働市場のピンチ 中小企業の65%が人手不足に悩む
「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」の集計結果について~中小企業の65.6%が人手不足と回答、賃上げ実施予定の企業は6割を超える~(日本商工会議所)
日本全国の中小企業を対象とした最近の調査により、多くの企業が人手不足に直面していることが明らかになりました。この調査は、物価の上昇と深刻な労働力不足が背景にある賃金上昇の圧力を調べるために、2024年1月4日から26日にかけて実施されました。全国47都道府県の6013社が対象で、2988社が回答しました。この結果は、今後の政策提言や企業の戦略立案に役立てるために集められました。
調査結果によると、65.6%の企業が人手不足を感じており、特に建設業、運輸業、介護・看護業ではその割合がさらに高くなっています。しかしながら、デジタル技術や機械、ロボットの活用に取り組む企業は全体の26.6%にとどまり、多くの企業がこの問題に対処するための手段を十分に活用していないことが分かります。
また、2024年度の賃金に関しては、61.3%の企業が賃上げを予定しており、これは前年度比3.1ポイントの増加を示しています。しかし、5人以下の小規模な企業では賃上げを予定している割合が32.7%にとどまり、特に小売業や宿泊・飲食業などの消費者向けサービス業で賃上げを予定している企業は比較的少ないことが分かります。それにもかかわらず、賃上げ率を3%以上と見込む企業は約4割にのぼり、5%以上とする企業も10%存在します。
最低賃金の引き上げについては、2023年10月の改定後、38.4%の企業が直接的な影響を受け、賃金を上げたと報告しています。また、最低賃金を上回る賃金を支払っていたが、さらに引き上げた企業も29.8%に上ります。最低賃金の今後の改定に対する意見は分かれており、引き下げるべきとする企業と現状維持を望む企業の合計が41.7%、引き上げを支持する企業も同じく41.7%という結果になりました。
この調査は、中小企業が直面している人手不足と賃金問題の現状を明らかにし、今後の政策立案や企業戦略に重要な示唆を与えます。経済環境の変化に対応し、持続可能な成長を目指すには、労働力不足の解決と適切な賃金政策の実施が鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは日本商工会議所のWEBサイトへ