2025年1月28日
労務・人事ニュース
日本企業の稼ぐ力を高めるための会社法改正に関する報告書を読み解く コーポレートガバナンス改革の新たな方向性
「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」において会社法の改正に関する報告書を取りまとめました(経産省)
2025年1月17日、経済産業省は「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」における議論を基に、会社法改正に関する報告書を正式に発表しました。この研究会は、企業の競争力を高めるためのコーポレートガバナンス改革のあり方を検討する目的で、2024年9月に設立されました。座長は東京大学名誉教授の神田秀樹氏が務め、日本企業が直面する外部環境の変化やグローバル競争の激化に対応しながら、「稼ぐ力」を強化するための具体策について議論が進められました。
研究会では、企業活動の基盤を形成する会社法制がどのようにあるべきかについて、幅広い視点から検討が行われました。その成果として取りまとめられた報告書には、企業経営者が積極的にリスクを取って成長投資を推進することを後押しするための改革案が盛り込まれています。この提言は、「企業経営・資本市場一体改革」の一環として位置付けられ、企業がその価値創造ストーリーを実行しやすくなるよう、会社法制の選択肢を拡大することを主眼に置いています。
具体的には、企業と株主との対話の実質化や効率化を図る制度の見直しが提案されています。また、日本の資本市場や企業経営の変化を見据え、コーポレートガバナンス体制に密接に関連する機関設計や株主総会のあり方についても、引き続き深い議論を行う必要性が指摘されています。このような包括的な検討を通じて、企業経営の柔軟性と株主の利益を両立させる仕組みの構築が目指されています。
報告書では特に、株主と企業が建設的な対話を重ねながら、相互の信頼を深めていくことが強調されています。これにより、企業が長期的な視野で成長戦略を遂行するための基盤を整えるとともに、投資家にとっても魅力的な市場環境を構築することが期待されています。
今後、この報告書を基に、具体的な法改正の方向性が検討される見通しです。これにより、日本企業が持続可能な成長を実現し、国際的な競争力を強化するための一助となることが期待されています。経済産業省は、引き続き関連する企業や専門家と連携し、実効性のある改革案を策定する意向を示しています。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ