2024年7月3日
労務・人事ニュース
求職理由別新規求職者数、在職者が3.1%増加、自己都合離職者が4.2%増加

第11回雇用政策研究会資料 【資料5】第11回雇用政策研究会 関係資料集(厚労省)
総務省「労働力調査」と厚生労働省「職業安定業務統計」に基づき、2024年4月時点の完全失業率は2.6%で、前月と変わらない数値を示しました。男性は2.8%、女性は2.4%で、男性は0.1ポイント上昇し、女性は0.2ポイント低下しました。有効求人倍率は1.26倍で、前月より0.02ポイント低下しています。現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しつつも緩やかに持ち直している状況です。ただし、物価上昇が雇用に与える影響に留意する必要があります。
リーマン・ブラザーズの破綻後、完全失業率は10か月で4.0%から5.5%に悪化し、有効求人倍率は11か月で0.83倍から0.42倍に低下しました。この過去の状況と比較すると、現在の雇用情勢は比較的安定しています。
2024年4月の新規求人数は前年同月比で2.3%減少しました。産業別に見ると、「製造業」は7.8%減少し、「宿泊業・飲食サービス業」は6.3%減少しています。特に製造業では、円安の長期化による仕入価格の高止まりが続き、製品への価格転嫁が進まず、利益確保や賃上げが難しいとの声が上がっています。一方で、輸送用機械器具製造業では一部自動車メーカーの生産停止が解消され、ゴールデンウィーク明けから本格的に生産が再開する予定です。宿泊業・飲食サービス業ではインバウンド需要が好調である一方、人手不足が続いており、人件費の増加が求人提出の妨げになっているという声が聞かれます。
2024年4月の雇用者数(季節調整値)を性別・雇用形態別で見ると、男性の正規雇用は前月比で18万人増加し、非正規雇用は11万人減少しました。女性の正規雇用は3万人減少し、非正規雇用も12万人減少しました。これにより、男性の正規雇用は2か月ぶりの上昇、女性の正規雇用は2か月連続の減少となっています。
求職理由別にみると、2024年4月の新規求職者数(原数値)は前年同月比で、在職者が3.1%増加し、事業主都合離職者が3.1%増加、自己都合離職者が4.2%増加、無業者が5.0%増加しています。物価高騰を理由に転職やダブルワークを希望する傾向が見られる一方で、経済活動の正常化や賃上げ機運の高まりを背景に、より良い処遇や環境を求めて転職を希望する動きも出ています。
日本銀行の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2024年3月の調査で製造業と非製造業の全ての企業規模で人手不足が過剰を上回っており、特に非製造業では人手不足感が高まっています。先行きでも更なる人手不足が予測されています。
2024年4月の雇用情勢は安定しており、求人倍率はやや減少傾向にあるものの、全体としては底堅い動きを見せています。製造業や宿泊業・飲食サービス業などの一部業種では円安や人手不足の影響が懸念されていますが、全体的には緩やかな回復基調が続いています。今後も物価上昇や経済動向に注意を払いながら、労働市場の動向を見守る必要があります。
参考:【資料5】第11回雇用政策研究会 関係資料集
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ