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2025年3月11日

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生活関連サービス等の平均月給は231,148円!前年比5.1%増(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)生活関連サービス等

令和6年の毎月勤労統計調査によると、生活関連サービス等の平均月間現金給与額は231,148円であり、前年比5.1%の増加が確認されている。この増加率は全産業平均の2.8%を大きく上回っており、業界全体の賃金が比較的高い伸びを示していることが分かる。特に、基本給とボーナスの増加が給与の伸びを後押ししており、賃金改善が進んでいることがうかがえる。

給与の内訳を詳しく見ると、基本給に該当する「きまって支給される給与」は204,615円で、前年比3.6%の増加が見られる。この増加率は、生活関連サービス業界が労働市場の変化に適応し、労働者の待遇改善を進めていることを示している。特に、介護・美容・クリーニング・ブライダルなどの分野では、専門技術を持つ人材の確保が課題となっており、基本給の引き上げが進められていると考えられる。

また、時間外手当を含む所定外給与は195,472円で、前年比3.5%の増加となった。このデータから、生活関連サービス業界では依然として時間外労働が発生しやすい状況が続いていることが分かる。特に、介護や美容業界では、利用者のニーズに応じて長時間勤務が発生しやすく、時間外勤務が給与の増加に影響を与えていることがうかがえる。一方で、業界全体としては働き方改革の影響を受け、労働時間の適正化に向けた取り組みも進められている。

一方、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は26,533円で、前年比19.3%の増加が記録されている。この増加率は他業界と比較しても非常に高く、生活関連サービス業界がボーナス支給を通じて従業員の待遇を改善しようとしていることがうかがえる。特に、介護業界では政府の支援策により賃金補助が行われているケースもあり、ボーナスの増額に反映されている可能性がある。また、美容・エステ業界では、繁忙期の業績好調を背景に賞与を増額する企業が増えていると考えられる。

他業界と比較すると、生活関連サービス等の給与水準は中程度の水準に位置している。例えば、鉱業・採石業(411,892円)、製造業(412,916円)、不動産・物品賃貸業(420,219円)と比較すると、生活関連サービス等の231,148円はやや低めの水準であるが、飲食サービス業等(140,437円)と比べると高く、業界全体の給与水準が安定してきていることが分かる。特に、ボーナスの増加率が高い点は、業界内の待遇改善が進んでいることを示しており、今後の賃金改善が期待される。

採用担当者にとって重要なのは、この給与水準が人材確保にどのような影響を与えるかである。生活関連サービス業界は、慢性的な人手不足が続いており、特に介護・美容・ブライダル・クリーニングなどの業種では人材の確保が大きな課題となっている。そのため、企業は給与面での競争力を高めることに加え、福利厚生の充実や労働環境の改善を進めることが求められる。特に、労働時間の短縮や休日の確保、キャリアアップ制度の導入などが、人材確保において重要なポイントとなる。

また、今後の課題として、労働時間の適正化とワークライフバランスの向上が挙げられる。生活関連サービス業界は、顧客対応が中心となる業種が多いため、繁忙期に労働時間が増加しやすい傾向がある。しかし、近年では政府の「働き方改革」や労働基準の厳格化により、労働時間の短縮が求められる中、給与総額の維持が大きな課題となる。採用活動においては、給与の高さだけでなく、労働時間の適正化や職場環境の改善を打ち出すことが、求職者にとって魅力的な要素となる。

今後の展望として、生活関連サービス業界は少子高齢化やライフスタイルの変化に伴い、成長が期待される業界である。特に、介護・美容・フィットネスなどの分野では、今後も需要が増加すると見込まれており、人材の確保が重要な課題となる。一方で、給与水準の向上は緩やかであり、今後も待遇改善が求められる業界であることに変わりはないため、企業は給与面だけでなく、働きやすい環境づくりを進めることが重要となる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ