2024年11月21日
労務・人事ニュース
賃金の連続増加で企業の雇用安定!毎月勤労統計調査が示す令和6年の給与動向
毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等(厚労省)
厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査の令和6年9月速報によると、名目賃金の上昇が続き、物価上昇を上回る形で労働者の給与が増加しています。特に、5人以上の事業所における現金給与総額が前年同月比で2.8%増加し、292,551円に達しています。また、規模が30人以上の事業所では3.6%増の328,230円に達し、43カ月連続でプラスを記録しました。この結果は、安定した経済成長の下での労働環境の改善を示唆しており、企業側が従業員に対しての賃金引き上げを積極的に行っていることが読み取れます。
「きまって支給する給与」にも安定した伸びが見られ、前年同月比で2.4%増加し、283,358円となりました。さらに、「所定内給与」も2.6%の増加で264,194円に達し、31年8カ月ぶりの高い伸びを記録しました。これらのデータは、基本的な賃金が着実に増加していることを示しており、特別な残業手当やボーナスなどの一時金以外の通常給与がしっかりと支払われている点を強調しています。企業にとっては、労働者の離職防止とモチベーション向上のため、安定した給与支給の維持が重要です。
一般労働者に関しては、現金給与総額が前年同月比で2.6%増加し、372,881円となり、42カ月連続でプラス成長を記録しました。このカテゴリーにおいても、「所定内給与」が2.5%増の333,822円に達し、44カ月連続でプラスを示しました。特に中堅以上の企業においては、給与の安定と持続的な増加が求められており、このような長期的なプラス成長は、企業の持続的な成長にも大きな影響を与えます。
パートタイム労働者の時間当たり給与も増加傾向にあります。所定内給与としての時間当たり給与は1,345円で、前年同月比で4.3%増加し、39カ月連続でプラスを記録しました。パートタイム労働者の給与が上昇していることは、非正規雇用者に対する企業の待遇改善への意識の高まりを反映しており、労働市場全体の健全性向上にも寄与しています。これにより、企業は幅広い人材を安定的に確保しやすくなり、従業員の満足度や職場環境の改善につながります。
一方で、実質賃金指数は厳しい状況が続いています。物価上昇が続いているため、現金給与総額の実質賃金指数(令和2年平均を100とした場合)は83.2で、前年同月比で0.1%減少し、2カ月連続のマイナスを記録しました。特に30人以上の規模の事業所では81.4と、物価上昇の影響を受けやすい傾向にあります。企業にとっては、実質賃金が目減りしないよう物価上昇に見合った給与改定が重要な課題といえるでしょう。この結果は、消費者物価指数が前年同月比で2.9%上昇している影響が反映されています。
令和6年9月の調査では、夏季賞与の支給も重要なポイントとなっています。規模5人以上の事業所における労働者一人平均賞与額は414,515円で、前年同月比で2.3%増加しました。また、規模30人以上の事業所では478,814円と、4.2%の増加を示しました。この賞与の増加は、企業が従業員への還元意識を高めていることを示しており、特に大規模な企業でその傾向が顕著です。夏季賞与の増額により、従業員は短期間での消費意欲が高まり、これが経済全体の活性化にも寄与すると考えられます。
本調査に関するデータは、経済全体の指標としてだけでなく、企業の経営判断にも大いに参考になります。従業員のモチベーション向上や離職率低減、競争力の向上などを目指すためには、こうした給与やボーナスの支給傾向を把握し、柔軟な賃金制度を導入することが効果的です。特に物価の変動を意識した賃金改定は、実質的な給与水準を維持するために企業が検討すべき重要な項目といえます。
企業が安定した成長を遂げるためには、労働者に適切な報酬を提供し、生活の質を向上させることが不可欠です。政府統計が示す最新データをもとに、企業は競争力のある給与体系を構築し、さらなる成長を目指すべきです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ