2025年1月5日
労務・人事ニュース
長崎県内99.8%の企業が65歳までの雇用確保措置を実施、全国平均に匹敵(令和6年6月1日現在)
長崎県内における令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します(長崎労働局)
令和6年12月20日、長崎労働局が令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表しました。この報告は、高年齢者雇用安定法に基づき、65歳および70歳までの就業機会確保に向けた企業の取り組み状況を明らかにするもので、長崎県内の従業員21人以上の企業2,604社から得られたデータを基にしています。
65歳までの高年齢者雇用確保措置については、長崎県内の企業の99.8%が実施済みで、全国平均99.9%にほぼ匹敵する結果でした。中小企業では99.8%、大企業では100%の実施率を記録しています。このうち、最も多い取り組みは「継続雇用制度の導入」で、65.6%の企業が採用していますが、前年から1.1ポイント減少しました。一方、「定年の引き上げ」を採用する企業は30.9%で、前年比2.0ポイント増加と一定の進展を見せています。なお、「定年制の廃止」を実施している企業は3.5%で、前年より0.9ポイント減少しています。
次に、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は28.3%で、全国平均31.9%にわずかに及びませんが、前年比0.9ポイント増加しています。特に大企業における実施率が23.7%と、中小企業の28.4%を下回っています。具体的な措置の内訳としては、「継続雇用制度の導入」が21.8%で最多を占めていますが、「定年の引き上げ」や「定年制の廃止」を採用する企業の割合は、それぞれ2.8%と3.5%にとどまっています。
定年制度に関する状況を詳しく見ると、長崎県内で「定年を65歳以上に設定している企業」は全体の34.3%で、前年から1.1ポイント増加しました。このうち、65歳定年とする企業が27.1%と主流を占めていますが、「66歳以上」を定年とする企業はわずか3.7%にすぎません。70歳以上を定年とする企業は2.8%で、こちらも限定的です。
長崎労働局は、これらの結果を踏まえ、高年齢者の雇用促進と生涯現役社会の実現に向けて引き続き企業への指導や助言を行う方針です。報告書によると、特に70歳までの就業確保措置の普及が課題として挙げられており、業務委託契約や社会貢献事業を活用した新たな取り組みの導入を促進する必要があるとされています。
また、報告は継続雇用制度の詳細についても触れています。希望者全員を対象とする制度を導入している企業が82.3%と主流である一方、対象者を限定する基準を設けている企業も17.7%存在します。この基準適用企業において、過去1年間で基準に該当し継続雇用された者の割合は93.8%でしたが、基準外で継続雇用が終了した事例も少数ながら報告されています。
これらのデータは、企業が高年齢者雇用の安定にどのように取り組んでいるかを示す重要な指標となります。また、高年齢者の雇用環境を改善するためには、法制度の遵守だけでなく、柔軟な雇用形態の導入や職場環境の改善が求められます。これらの施策が地域経済の活性化と労働市場の多様性を高めるために重要な役割を果たすことが期待されています。
⇒ 詳しくは長崎労働局のWEBサイトへ