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2024年4月21日

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需要変動と労使調和 運輸業および郵便業の未来を形作る労働政策の進化

運輸業・郵便業における需要変動と労使関係(JILPT)

運輸業および郵便業における最近の研究では、これらの産業が遭遇した需要の変動と、それにどのように対処してきたかが明らかにされています。この研究は、日本全国のさまざまな企業を対象に行われたヒアリングに基づいており、特に雇用と労働条件の維持に注目が集まっています。

研究の結果、各企業が採用した雇用調整策は多岐にわたりますが、鉄道、バス、郵便、物流各業界での具体的な対策が示されています。

たとえば、ある鉄道会社は助成金の活用や賃金の抑制を含む多様な対策を実施しましたが、他の会社では状況に応じてさらに異なるアプローチが取られています。物流業では、新型コロナウイルスの影響による一時的な需要減少と、同時に発生した巣ごもり需要の増加にどう対応するかが課題となりました。

人材確保に関しても同様に、各社は困難な課題に直面しています。研究では、人材不足に対する具体的な対策として、初任給の引き上げや、離職防止策の実施などが挙げられています。

労働時間短縮を求める新しい労働時間規制の導入に伴い、バス運転手やトラックドライバーの業務における人手不足がさらに深刻化することが予想されており、これにどう対応するかが今後の大きな課題です。

労使関係の観点からも重要な発見があり、特に春闘交渉の変化が注目されています。新型コロナウイルスの影響下で、多くの企業が雇用を維持するために賃金抑制を受け入れざるを得なかった実情があります。しかし、同時に労働組合と企業との間で新たな交渉が模索され、労使間の新たな関係構築への動きも見られました。

以上の研究から、運輸業および郵便業の未来に向けたいくつかの政策的示唆が得られます。特に人材の確保、サービス価格の見直し、さらなる労働条件の改善が求められることが明らかになりました。これらの業界が直面する課題に対処するためには、持続可能な対策の継続的な検討と実施が必要です。

この研究は、政策立案や企業戦略に関する重要な情報を提供するものであり、多様な働き方や労使関係の進化に対する理解を深める助けとなるでしょう。研究は令和4年から5年度にかけて行われています。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ