2025年3月17日
労務・人事ニュース
築40年以上のマンションが全体の20%に、管理・再生の円滑化を図る改正法案を閣議決定
- 「駅チカ」/正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
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マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案を閣議決定 ~新築から再生までのライフサイクル全体を見通した取組~(国交省)
政府は、マンションの管理・再生の円滑化を目的とした改正法案を閣議決定しました。この法案は、全国で700万戸を超えるマンションが存在し、多くの国民が居住する重要な住宅形態であることを背景に策定されたものです。しかし、現在、多くのマンションが老朽化の問題を抱えており、建物自体の劣化に加え、高齢化が進む区分所有者の管理能力の低下が懸念されています。この「二つの老い」により、外壁剥落などの危険性が増大し、管理組合による意思決定が困難になるなどの課題が顕在化しています。そこで、マンションの新築時から適切な管理が行われるようにし、老朽化したマンションの再生を円滑に進めるための法整備が求められていました。
この改正法案の柱の一つは、マンションの管理体制の強化です。具体的には、新築時に分譲事業者が管理計画を作成し、それを管理組合に引き継ぐ仕組みを導入することで、適正な管理が継続されるようにします。これにより、分譲事業者と管理組合が共同でマンションの維持管理を計画的に進められるようになります。また、管理業者が管理組合の代表者を兼任し、工事などの発注を行う際には利益相反の問題が生じる可能性があるため、自己取引などに関する事前説明を区分所有者に義務付ける制度が新たに導入されます。さらに、マンションの修繕や管理方針についての決議は、全区分所有者の多数決ではなく、集会の出席者の多数決によって決定できるように変更されます。これにより、管理組合の意思決定が迅速化し、適切な管理が行われやすくなります。
次に、老朽化したマンションの再生を円滑にするための措置も強化されます。現在、多くのマンションが築40年以上を経過し、その割合は全体の約20%、約137万戸に達しています。今後10年でこの数は2倍に、20年で3.4倍に増加すると見込まれています。そのため、建物や敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊しなどを建替えと同様に多数決決議によって実施できるようにし、それに対応した事業手続きが整備されます。また、建替え後のマンションの区分所有権に隣接地や底地の所有権を変換できるようにすることで、より柔軟な再生が可能になります。さらに、耐震性不足のマンションを建替えする際には、特定行政庁の許可によって高さ制限の特例を適用できる制度を創設し、容積率の確保をしやすくします。
地方公共団体による危険なマンションへの対応も強化されます。具体的には、外壁剥落などの危険性があるマンションに対して報告徴収や助言指導、勧告を行う権限を地方公共団体に付与し、必要に応じて行政代執行により除却できる制度を整備します。また、区分所有者の意向把握や合意形成の支援を行う民間団体を登録する制度を創設し、マンションの再生を促進する支援体制を整えます。これにより、老朽化が進んでいるにもかかわらず、管理組合の意思決定が進まず再生が滞っているマンションに対して、外部の専門家によるサポートを受けることができるようになります。
この改正法案により、老朽化マンションの問題解決が進むことが期待されています。現在、マンションの管理計画認定を取得している割合は約3%ですが、施行後5年間で20%まで引き上げることを目標としています。また、現在のマンションの再生件数は年間472件ですが、施行後5年間で1,000件に倍増させる計画です。こうした取り組みによって、管理が適切に行われ、老朽化の進行を抑えることができるマンションが増加する見込みです。
この改正は、マンションの管理組合だけでなく、不動産業界全体にも大きな影響を与えることになります。マンション購入を検討する際に、管理計画が認定されているかどうかが重要な判断基準の一つとなり、管理が適切に行われているマンションの資産価値が向上する可能性があります。また、金融機関においても、管理計画認定を取得したマンションに対して、ローンの金利優遇などのインセンティブを設けることで、マンションの適切な維持管理を後押しすることが期待されます。
今後、マンションの管理や再生の制度が強化されることで、より安全で快適な住環境が確保されるとともに、マンション市場全体の健全化が進むことが期待されています。今後の動向に注目しながら、各管理組合や不動産業者は、適切な管理体制の構築や再生の準備を進めていくことが求められます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ