2024年6月9日
労務・人事ニュース
100人以上の事業所の労働災害、度数率2.14に上昇、平均労働損失日数は40.0日に減少
令和5年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況(厚労省)
厚生労働省は、令和5年の労働災害動向調査の結果を発表しました。この調査は事業所規模100人以上の事業所及び総合工事業を対象として行われました。労働災害の状況についての詳細なデータが示されています。
まず、事業所規模100人以上の全体的な労働災害状況ですが、度数率は2.14と前年の2.06から上昇しました。強度率は前年と同じ0.09で変化はありませんでした。死傷者1人あたりの平均労働損失日数は40.0日で、前年の44.3日から減少しました。不休災害度数率は4.00と、前年の3.69から増加しました。一方、無災害事業所の割合は52.4%で、前年の54.9%から減少しています。
次に、産業別の労働災害の状況を見てみると、主な産業における度数率は以下のようになっています。製造業は1.29、運輸業・郵便業は3.95、卸売業・小売業は2.43、医療・福祉は2.32となっています。いずれも前年と比較して増減がありますが、特に運輸業・郵便業の度数率は減少傾向にあります。
強度率に関しては、製造業が0.08、運輸業・郵便業が0.19、卸売業・小売業が0.06、医療・福祉が0.05となっています。こちらも前年から大きな変化は見られませんが、運輸業・郵便業において若干の減少が見られます。
また、死傷者1人あたりの平均労働損失日数は、製造業が58.0日、運輸業・郵便業が47.7日、卸売業・小売業が26.8日、医療・福祉が20.3日となっています。これらの数値から、業種ごとの労働環境や安全対策の違いが浮き彫りになっています。
事業所規模別に見ると、1000人以上の事業所では度数率が0.56、強度率が0.02と非常に低く、一方で100~299人の事業所では度数率が2.91、強度率が0.12と高めに出ています。規模が小さい事業所ほど労働災害が多発していることがわかります。
総合工事業に関しては、令和5年の度数率が1.69と前年の1.47から上昇し、強度率も0.29と前年の0.22から増加しました。死傷者1人あたりの平均労働損失日数も174.2日と前年の153.2日から増えています。工事の種類別に見ると、土木工事業の度数率は1.41、建築事業は1.78と分かれています。
今回の調査結果から、各産業や事業所規模による労働災害の状況が明らかになりました。特に中小規模の事業所や運輸業、建設業における労働災害のリスクが高いことが確認され、今後の安全対策強化の必要性が浮き彫りになっています。企業はこれらのデータを活用し、労働環境の改善や安全管理の徹底を図ることが求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ