2025年2月6日
労務・人事ニュース
2025年1-3月期の業況判断DIは5.3に改善予想、採用市場はどう動く?
全国中小企業動向調査結果(2024年10-12月期実績、2025年1-3月期以降見通し)(日本公庫)
2025年1月29日、日本政策金融公庫が発表した最新の中小企業景況調査によると、業況判断DI(企業の景況感を示す指数)は3.2と、前回調査より1.8ポイント低下したことが明らかになった。中小企業全体の景況感は持ち直しの動きが見られるものの、業種や企業規模によって異なる課題が浮き彫りになっている。
業況判断DIの低下は、特に製造業において顕著であり、電気機械や鉄鋼、飲食料品などの分野で業況が悪化している。一方で、輸送用機械や化学工業などの業種では改善傾向がみられた。非製造業においても、倉庫業や不動産業、情報通信業では低迷が続くが、宿泊・飲食サービス業や卸売業では改善の兆しが見られる。
売上DI(売上の増減を示す指数)は10.9と、前回とほぼ横ばいの結果となった。業種別では、製造業が1.0、非製造業が16.5と、非製造業の方が売上の回復が目立っている。特に宿泊・飲食サービス業や小売業では売上が増加しているものの、製造業では依然として低迷しており、今後の市場環境の変化による影響が懸念される。
利益面では、純益率DI(企業の利益率を示す指数)が▲2.4とマイナスの状態が続いている。製造業における利益率の低下が顕著であり、特に鉄鋼業や電子部品産業で厳しい状況が続いている。非製造業では2.8とプラスの値を示したが、不動産業や情報通信業では依然として厳しい状況にある。
資金繰りDI(企業の資金繰り状況を示す指数)は▲21.9と、前回からやや改善したものの、厳しい状況に変わりはない。特に小規模企業では資金繰りの悪化が続いており、新規借入の難易度も高まっている。借入DI(借入のしやすさを示す指数)も▲17.6と、前回から2.3ポイント悪化しており、企業の資金調達環境が引き続き厳しいことが示唆される。
経営上の問題点として、「売上不振」が33.5%と最も多く挙げられ、次いで「利益減少」(18.7%)、「原材料高」(18.1%)が課題となっている。これらの要因は、企業の採用計画にも影響を及ぼしており、特に人材確保が難しくなっている業種では、新卒・中途採用の動向に変化が出る可能性がある。
設備投資については、実施企業割合が14.1%と、前回から横ばいの水準となった。販売価格DI(価格の上昇・下降を示す指数)は26.7と2.2ポイント上昇し、仕入価格DIは72.9と2.9ポイント上昇した。これらの動向から、企業は仕入コストの増加に対応しながら価格転嫁を進めていることが分かる。
今後の見通しについては、来期(2025年1-3月期)の業況判断DIは5.3と上昇し、売上DIも14.5、純益率DIも▲0.3と改善の兆しが見られる。特に非製造業では上昇が見込まれており、景況感の改善が期待される。
一方で、業種や地域による格差は依然として大きく、製造業や地方の中小企業では厳しい経営環境が続くことが予想される。採用担当者にとっては、今後の市場環境を見極めながら、人材確保や育成に注力することが求められるだろう。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ