2025年3月17日
労務・人事ニュース
2024年の倒産件数1万件超、政府が新たな債務調整制度で企業支援を強化
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「円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案」が閣議決定されました(経産省)
政府は2025年3月4日、「円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案」(早期事業再生法案)を閣議決定し、第217回通常国会に提出する方針を明らかにしました。本法案は、経営が悪化した企業が迅速に事業再生を進め、技術や人材の流出を防ぐための制度を整備することを目的としています。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、日本企業の債務残高はコロナ禍前と比べて120兆円以上増加しました。その後、原材料価格の高騰や人手不足の深刻化により、企業の経営環境は一段と厳しくなっています。2024年には国内の倒産件数が1万件を超え、11年ぶりの高水準となりました。このような状況のもと、政府は企業の事業再生を迅速かつ円滑に進めるための法的枠組みを構築する必要があると判断し、本法案を策定しました。
本法案の最大の特徴は、金融機関との債務調整を円滑に進めるための新たな手続きが導入される点です。具体的には、経済産業大臣が指定する公正な第三者が関与し、金融機関などの債権者による多数決(議決権総額の4分の3以上の同意)および裁判所の認可を通じて、金融債務の調整を可能にする仕組みを整備します。これにより、企業は法的整理に至る前の段階で、債務の再編を実施し、事業の継続を目指すことができます。
従来の事業再生手続きでは、民事再生法や会社更生法といった制度が活用されてきましたが、これらの手続きは時間がかかるうえ、取引先や従業員への影響も大きく、企業の信用低下を招く可能性がありました。一方で、新たに導入される早期事業再生法案では、裁判所の監督の下で、比較的迅速に債務調整を進めることができるため、企業の事業価値を損なわずに再生の道を探ることが可能となります。
また、今回の法案では、金融機関の協力を得やすい仕組みが設けられています。金融債務に関する調整を行う際には、債権者の多数決による同意が必要となりますが、このプロセスにおいて、公正な第三者の関与が認められることで、企業と金融機関の信頼関係が維持されやすくなります。さらに、裁判所の認可を受けることで、法的安定性を確保し、関係者が納得しやすい形での債務再編を実施できる仕組みとなっています。
企業にとって、この新たな枠組みは、資金繰りの改善と事業継続のための重要な選択肢となります。特に、コロナ禍後の経済回復が進む中で、業績が一時的に悪化した企業にとっては、経営基盤を立て直す機会となるでしょう。また、事業再生に伴う不確実性を低減し、従業員や取引先への影響を最小限に抑えることが可能となります。
この法律の施行後、企業が事業再生を図る際の選択肢が増えることで、経済全体の新陳代謝が促進され、より健全な企業経営が可能となることが期待されます。今後、政府は本法案の成立に向けて、関係機関と協力しながら、円滑な運用に向けた準備を進めていくとしています。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ