2024年12月23日
労務・人事ニュース
JOINの損失解消計画が明らかに!累積損失を削減するための新たな施策
「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の役割、在り方、経営改善策等に関する有識者委員会」の最終報告をとりまとめ ~第7回会合の開催結果~(国交省)
2024年12月12日、国土交通省が発表した最終報告書によれば、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が多額の損失を計上するに至った要因を検証する委員会の審議が終了しました。この委員会では、官民ファンドの運用、金融実務、海外プロジェクトの専門家による議論が進められ、JOINの役割、在り方、そして経営改善策を多角的に検討しました。
JOINは、政府のインフラ海外展開施策の中核的役割を担う組織として設立され、これまで長期かつ大型のインフラプロジェクトを対象に資金提供を行ってきました。しかし、これらの事業の一部は収益性が低く、高いリスクを伴うものでした。その結果、累積損失が発生し、組織の存在意義や運営の在り方に疑問が呈されてきました。
報告書によると、JOINの役割には政策的意義が認められるものの、その運営には改善が必要であると指摘されています。特に、民業補完の原則を踏まえ、民間事業者が主導できないリスクを補完する形での官民ファンドの活用が望ましいとされました。しかし、高速鉄道システム全体を導入するような事業など、初期段階からのエクイティ出資はリスクが高すぎるため、対象外とすべきだと結論付けられました。
委員会は、JOINの存続を条件付きで認めることを提言しています。その条件として、特に以下の3点が重要視されました。一つ目は、投資リスク管理の徹底です。リスクの高い国や地域への投資規模を制限することや、収益見通しの立たないプロジェクトからの撤退条件の明確化が求められました。また、市場リスクや環境リスクの見える化と第三者評価の導入が推奨されています。
二つ目は、累積損失を解消するための明確な目標設定と計画策定です。固定費の削減や既存案件のモニタリング強化、さらには適切なタイミングでのプロジェクト終了(Exit)を行うことで、財務状況の改善が期待されています。
三つ目は、組織体制の見直しです。効果的なハンズオン支援を可能にするための専門知識の導入や、ガバナンス強化が必要とされています。特に内部統制を強化し、エクイティファイナンス審査体制の整備を行うことで、透明性を高めることが求められています。
さらに、JOINと他の関連組織、例えば国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)との連携強化も重要なテーマとして挙げられています。協調案件の実施やリスク情報の共有を通じて、リスク軽減を図ることが期待されています。
損失計上やその公表の透明性についても問題点が指摘されており、早期の説明責任を果たすことが重要とされています。報告書では、ネガティブ情報も積極的に開示することで、ステークホルダーとの信頼関係を構築することが求められています。
JOINの未来については、外部有識者を含む第三者によるフォローアップが不可欠であるとされています。これにより、改善策の実施状況が定期的に評価され、必要に応じてさらなる改革が行われることが期待されます。
この報告書は、政府およびJOINの経営陣にとって、組織の再構築に向けた重要な指針となるでしょう。政府が掲げるインフラ海外展開の重要施策を進める上で、JOINの役割は依然として不可欠ですが、その運営の透明性や効率性を高めるための取り組みが必要とされています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ