2025年1月12日
労務・人事ニュース
不動産取引が変わる!令和7年1月施行のレインズ登録義務化が売主に与える影響とは
レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました! ~ご自身の物件の取引状況を確実かつ簡単に確認できるようになります~(国交省)
令和6年12月24日、国土交通省不動産・建設経済局不動産業課が発表した「レインズ機能強化」に関する取り組みは、不動産取引の透明性向上を目的としています。今回の改正により、令和7年1月1日から宅建業者は物件の取引状況を「レインズ」に登録する義務が課され、売主自身が取引状況を簡単に確認できる仕組みが導入されることになりました。この背景には、不動産取引における「囲い込み」などの不正行為を防止し、売主・買主双方の利益を守る狙いがあります。
「レインズ」は、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営するネットワークシステムです。不動産情報が宅建業者間で共有され、取引を円滑に進めるための基盤として広く利用されています。平成28年から導入された「ステータス管理機能」により、売主が自らの物件の取引状況を確認できる環境が整備されてきました。しかし、これまでは任意の登録だったため、情報の網羅性や更新の正確性に課題が残っていました。
今回の改正では、売主が自分の物件の取引状況をリアルタイムで確認できるようにするため、宅建業者が物件情報を登録し、その取引ステータスを定期的に更新することが義務化されます。この取組みは、透明性を高め、不動産市場の公正性を強化する重要なステップです。また、登録証明書には新たに二次元コードが導入され、売主専用画面へのアクセスが一層容易になります。
「ステータス管理機能」によって、取引の進捗状況を「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」のいずれかで把握できます。売主は、この情報を活用することで、自分の物件が市場でどのように扱われているかを適切に監視できるようになります。例えば、意図せず「一時紹介停止中」として登録されている場合、すぐに担当の宅建業者に問い合わせて是正を求めることができます。これにより、不正行為や意図的な囲い込みを防ぎ、売買契約をスムーズに進めることが可能となります。
さらに、消費者向けリーフレットを作成し、ステータス管理機能の重要性や利用方法を広く周知する取組みも進められています。このリーフレットは、売主が物件情報の確認や管理を積極的に行う意識を高めることを目的としており、国土交通省の公式ウェブサイトで公開されるほか、取引の現場でも利用が奨励されています。不動産業界全体としては、情報管理の透明性向上による市場活性化が期待されています。
「囲い込み」とは、一部の宅建業者が自社利益を優先し、売主や買主の利益を損なう行為です。具体的には、売主が承諾していないにもかかわらず物件の紹介を停止したり、他の宅建業者への情報提供を制限することで、成約可能性を低下させるケースが挙げられます。このような不正を防ぐために、売主自身が取引状況を確認できる仕組みが必要不可欠です。改正後のルールにより、売主は自分の物件がどのような状況にあるのかを正確に把握し、不正やトラブルを未然に防ぐことができます。
また、売主専用画面の導入は、デジタル技術を活用した効率的な情報管理の一環であり、今後さらに機能が強化される可能性があります。これにより、不動産市場全体の透明性と効率性が向上し、売主、買主、宅建業者の全てが利益を享受できると考えられます。
改正内容は、令和7年1月以降に適用されるため、現在不動産取引を検討している売主や宅建業者にとっては、早急に新ルールに対応する必要があります。特に、登録証明書に記載される二次元コードの活用方法やステータス管理機能の操作手順について、事前に理解を深めておくことが重要です。
国土交通省と指定流通機構が共同で進めるこの取組みは、業界全体の信頼性を高めることを目的としています。透明性の向上や不正行為の防止といった観点から、ステータス管理機能の利用促進が期待されています。不動産業界に携わる全ての関係者が、この改正の趣旨を理解し、積極的に活用することが求められます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ