2024年9月28日
労務・人事ニュース
令和5年度末のデータに基づく測量業の減少、20年連続減少で登録業者数11,313業者に
測量業は20年連続減少、建設コンサルタント・地質調査業は横ばい ~ 令和5年度末の建設関連業登録業者の登録状況をとりまとめ~(厚労省)
国土交通省が発表した令和5年度末時点における建設関連業者の登録状況について詳しく解説します。測量業、建設コンサルタント、地質調査業という3つの主要な業種に焦点を当て、これらの業界における近年の傾向や背景を詳しく分析します。このデータは、採用担当者や業界関係者にとって、業界の変化や将来的な展望を理解する上で重要な参考資料となります。
まず、測量業に関するデータを見てみましょう。令和5年度末の時点で、測量業に登録されている業者数は11,313業者となっています。この数は、前年よりも164業者、すなわち1.4%の減少を記録しました。特に注目すべきは、この減少傾向が平成15年をピークとし、20年連続で続いているという事実です。平成15年には14,750業者が登録されていたことを考えると、長期的な減少傾向が顕著です。この減少は、業界全体の需要の減少や、技術革新による効率化、あるいは業界内での統廃合が影響している可能性があります。また、少子高齢化や人口減少に伴い、新たなインフラ整備の需要が減少していることも一因と言えるでしょう。
次に、建設コンサルタント業界に目を向けます。令和5年度末時点での登録業者数は3,932業者であり、前年と比較してわずか1業者(0.03%)の増加にとどまっています。平成17年には4,214業者が登録されていたことから、この業界はおおむね横ばいの状況が続いていると言えます。建設コンサルタント業界は、インフラ整備や都市開発における設計・計画業務を担っており、一定の需要はあるものの、こちらも測量業と同様に、人口減少や需要の変化が影響していると考えられます。新規登録業者は233業者に達しましたが、一方で登録消除業者も232業者とほぼ同数であるため、業界全体としては新規参入と撤退がほぼ均衡している状況です。
地質調査業も、ほぼ横ばいの傾向が見られます。令和5年度末の登録業者数は1,230業者で、前年から27業者(2.1%)減少しています。平成17年のピーク時には1,390業者が登録されていましたが、それ以来、緩やかな減少傾向が続いています。地質調査業は、土壌や地盤の調査を行い、建設工事の基礎となる重要な役割を果たしていますが、近年のインフラ整備需要の低迷が影響を与えていると考えられます。また、技術の進展によって業務が効率化された結果、少人数や少規模な企業で業務を遂行できるようになったことも、業者数の減少に寄与している可能性があります。
これらのデータから分かるように、建設関連業界は全体として一定の需要があるものの、長期的には減少傾向が続いています。この背景には、少子高齢化や人口減少、新たなインフラ整備の需要が減少していることが挙げられます。特に測量業は20年連続で減少しており、今後もこの傾向が続く可能性があります。一方、建設コンサルタント業や地質調査業はおおむね横ばいの状態が続いており、業界の安定性がうかがえます。しかし、新規参入と撤退がほぼ同数であることから、競争が激化していることも考えられます。
これらのデータを踏まえると、企業の採用担当者は、業界の変化に対応できる柔軟な人材を確保することが重要です。特に、技術の進展や業界の効率化に対応できるスキルを持った人材が求められるでしょう。また、業界全体が縮小傾向にある中で、新規参入企業や技術革新に対応できる企業は今後の成長が期待されるため、こうした企業での経験を持つ人材も重要な資源となります。さらに、地質調査業や建設コンサルタント業では、専門性の高いスキルを持った人材の需要が高まる可能性があり、この分野での専門知識を持つ人材の確保も課題となるでしょう。
以上のように、建設関連業界の現状は、少子高齢化や人口減少、インフラ需要の低迷という課題に直面していますが、一方で技術革新や業務効率化により新たな可能性も広がっています。企業の採用担当者は、こうした業界の変化に対応できる人材を積極的に確保し、業界の未来に向けた戦略を立てる必要があります。
最後に、採用担当者が特に注目すべきポイントをまとめると、業界全体の縮小傾向、技術革新の影響、新規参入と撤退の均衡、そして専門性の高い人材の需要が挙げられます。これらの点を踏まえた上で、適切な採用戦略を立てることが求められます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ