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2025年6月21日

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出生率1.15で過去最低、若年層採用難が加速する時代に企業が取るべき人材戦略とは(令和6年 人口動態統計月報年計 概数)

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令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚労省)

令和6年の人口動態統計における最新データが公表され、日本社会が直面している深刻な人口減少の実態が改めて浮き彫りとなりました。厚生労働省の発表によると、2024年の出生数は68万6061人となり、前年から4万1227人の減少を記録しました。これは戦後最少の水準であり、出生率(人口千対)も5.7と前年の6.0から低下しています。さらに、合計特殊出生率は1.15となり、前年の1.20からも下降しており、少子化の流れに一層の拍車がかかっていることが示されました。

この傾向は、母親の年齢階級別や出生順位別のすべてにおいて減少が見られ、いずれの層でも出生数が減少しています。第1子の出生時における母親の平均年齢は前年と同じく31.0歳ですが、これは出産が後ろ倒しになっている現象を表しています。また、母親の年齢別合計特殊出生率を見ると、出生率が最も高いのは30~34歳で、若年層の出生率は急速に低下しています。

都道府県別に見ると、出生率が最も高いのは沖縄県で1.54、続いて福井県が1.46、鳥取県・島根県・宮崎県がそれぞれ1.43という結果になっています。一方、最も低いのは東京都で0.96、次いで宮城県が1.00、北海道が1.01と、都市部での出生率の低さが目立ちます。都市化が進む地域では、生活コストや育児環境の課題が出産や子育てに影響を与えていることが考えられます。

対照的に、死亡数は増加傾向にあります。2024年の死亡数は160万5298人となり、前年から2万9282人の増加を記録しました。死亡率も13.3と上昇しており、これにより出生数と死亡数の差である自然増減数はマイナス91万9237人に達しました。自然増減率はマイナス7.6で、18年連続の減少・低下が続いています。とりわけ75歳以上の高齢者の死亡が全体の8割を占めており、日本が超高齢社会であることを改めて示す結果となりました。

死因別の内訳を見ると、最多の死因は悪性新生物、いわゆるがんで、全死亡者の23.9%を占めています。次いで心疾患(14.1%)、老衰(12.9%)が続きます。がんの中でも、男性は「肺」が最も多く、死亡率は人口10万対で89.5となりました。女性では「大腸」が最も高く、死亡率は41.4です。年齢別では、男性は65~74歳、女性は55~59歳にがんのピークが見られ、年齢層ごとの健康リスクへの対策が急務であることを物語っています。

出生数の減少と死亡数の増加により、日本の人口構造は急速に変化しています。これに伴い、労働力人口の減少や高齢者の医療・介護需要の増加など、社会保障制度の持続可能性に大きな影響が及んでいます。企業にとっても、この変化は避けて通れない課題です。たとえば、労働人口の減少は採用難を招き、特に若年層の人材確保が困難になることが予測されます。また、働き手の高齢化による健康管理コストの増加、世代交代の課題など、組織運営にも大きな影響を与えるでしょう。

一方で、2024年の婚姻件数は48万5063組となり、前年から1万322組の増加を記録しました。婚姻率は人口千対で4.0と、わずかに上昇しています。平均初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.8歳で、妻の年齢が前年より0.1歳上昇しています。これは晩婚化の傾向が続いていることを示しており、出産時期の後ろ倒しにもつながっています。なお、再婚の割合は夫で17.9%、妻で15.6%となっており、前年よりも微減となっています。

離婚件数は18万5895組と、前年より2081組増加し、離婚率は1.55となりました。離婚の内訳を同居期間別に見ると、1~2年未満や4年以上の同居期間にある夫婦で増加が見られ、関係性の初期または長期において問題が顕在化している様子がうかがえます。これは、職場環境や働き方改革、家庭内役割分担の変化など、社会構造の変化に起因する可能性もあります。

以上のように、出生率の低下と死亡数の増加、婚姻・離婚の動向は、企業の人事戦略に大きな影響を及ぼします。たとえば、新卒採用の競争が激化する一方で、中高年層や女性の活用、さらには地方人材や外国人労働者の受け入れなど、多様な人材戦略が求められる時代となっています。また、仕事と育児・介護の両立支援、ライフステージに応じた柔軟な働き方の整備も、企業にとって重要な施策となるでしょう。

企業の採用担当者にとって、この人口動態のデータは単なる統計ではなく、将来の組織づくりに向けた重要な羅針盤となります。数字の背後にある社会的背景や生活者の価値観の変化を的確に捉え、柔軟で持続可能な雇用環境の構築が求められる時代です。若年層の減少と中長期的な労働人口の縮小を前提に、採用の質・量の両面での戦略再構築が不可欠です。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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