2025年5月31日
労務・人事ニュース
労働時間136.3時間に減少、前年比1.2%減が示す働き方改革の進捗と課題(毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報)
- 看護師/福岡県/呉服町駅/福岡市博多区/通勤手当/他 再雇用
最終更新: 2025年6月4日 09:33
- 介護職員/介護福祉士/有料老人ホーム/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年6月4日 11:00
- 外資系保険業界でのITヘルプデスク業務/駅近/即日勤務可/賞与あり
最終更新: 2025年6月4日 09:37
- 介護職員/介護福祉士/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年6月4日 11:01
毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)
令和6年の毎月勤労統計調査結果によると、日本の労働時間に関する動向には、働き方改革や生産性向上に向けた企業努力が確実に反映されていることが明らかとなりました。企業の採用担当者にとっては、この労働時間の変化を把握することが、自社の魅力度や人材確保戦略を見直す上で極めて重要な指標となります。特に昨今は、求職者の間で「時間」に対する意識が高まっており、労働時間の長短や残業時間の適正さが企業選びの重要な判断材料になっています。
今回の調査では、事業所規模5人以上の全国平均において、総実労働時間は136.3時間となり、前年と比較して1.2%の減少という結果が示されました。これは全体として労働時間の短縮が進んでいることを示しており、長時間労働の是正や業務の効率化が着実に浸透してきていることがうかがえます。所定内労働時間についても126.3時間と、前年に比べて1.1%減少しています。これは企業が定時内での業務処理を重視し、生産性の向上に注力していることを表していると言えます。一方、所定外労働時間、すなわち残業時間は10.0時間で前年比2.5%の減少となっており、特に過重労働の解消に向けた取り組みが功を奏していることが読み取れます。出勤日数は17.6日と前年とほぼ同水準で推移しており、労働日数自体は安定していることが確認されました。
業種別に見ると、最も総実労働時間が長かったのは建設業で161.1時間に達しており、前年と比較して1.3%の減少ではあるものの、依然として高い水準を維持しています。所定内労働時間は148.3時間、所定外労働時間は12.8時間で、それぞれ前年比では1.0%および5.0%の減少となっています。建設業は現場仕事が中心であるため、気候や工期によって労働時間が大きく左右される傾向にありますが、全体的には働き方の見直しが進んでいると見られます。出勤日数は19.7日で、前年より0.3日減少しましたが、業界全体としては比較的多い労働日数となっています。
電気・ガス業では、総実労働時間が154.8時間とやや高水準ながら、前年比では0.3%の微減にとどまっています。所定内労働時間は139.1時間で、これも0.3%の減少、所定外労働時間は15.7時間で前年と変わらず横ばいという結果でした。安定供給が求められるインフラ業種であることから、突発的な対応やシフト勤務が影響する部分はあるものの、全体としては非常にバランスの取れた労働時間構成が特徴です。出勤日数は18.5日で、前年から0.1日減少しました。
情報通信業については、総実労働時間が157.2時間と前年に比べて0.3%増加しており、所定内労働時間も141.4時間で0.2%の増加が見られました。特に所定外労働時間においては15.8時間で、前年比1.0%の増加となっており、この業界の特性として柔軟な勤務体系がある一方で、納期対応やプロジェクト進行によって残業が発生しやすい構造が反映されています。出勤日数は18.6日で前年より0.1日増加しており、IT業界やデジタル分野における人材の稼働が依然として活発であることがうかがえます。
一方、製造業では総実労働時間が156.2時間で前年比0.5%の減少、所定内労働時間が142.9時間で同じく0.5%の減少、所定外労働時間は13.3時間で1.3%の減少となりました。生産効率の向上や工程の自動化などによって労働時間を抑える傾向が強まっていることがわかります。出勤日数は18.8日と前年から0.1日減少しており、安定した勤務体系が確保されています。
鉱業・採石業等の分野では、総実労働時間が158.3時間、所定内労働時間が144.3時間、所定外労働時間が14.0時間と、全体的に高い水準を維持していますが、いずれも前年からは減少しています。総実労働時間は2.0%の減少、所定内労働時間は1.7%減少、所定外労働時間は4.0%減少と、業界全体での労務改善が進んでいることがうかがえます。出勤日数は19.6日で、0.2日の減少でした。
これらのデータから総じて言えるのは、労働時間は全体的に減少傾向にある一方で、業種によっては高水準を維持しているところもあり、その背景には業務の性質や労働環境、需要の変化などが密接に関連しているという点です。企業の採用担当者にとっては、自社が属する業種の労働時間と比較して、より働きやすい環境を提供できているかどうかを客観的に把握することが求められます。特に、所定外労働時間が短く、出勤日数も安定している企業は、求職者に対して「ワークライフバランスの良い職場」としての魅力を強く打ち出すことができます。
また、これらの統計を踏まえた上で、社内での生産性指標や業務改善の成果を測定することで、単なる賃金や福利厚生にとどまらない「働きやすさ」を可視化することができます。たとえば、所定内の労働時間が長くても、残業が少ない場合は効率的な業務設計がされている証拠となりますし、出勤日数が多くても、1日あたりの業務量が適正であれば、過度な負担感を与えずに業務を遂行できる環境が整っていると言えるでしょう。
こうした労働時間の傾向を定量的に把握し、それに基づいた柔軟な働き方の設計や業務フローの見直しを行うことが、今後の人材確保競争において大きな差別化要因となります。特に若年層や中途採用市場では、報酬だけでなく「時間の使い方」や「業務の柔軟性」を重視する傾向が強まっており、それに応える体制の構築が急務となっています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ