2025年6月20日
労務・人事ニュース
労働災害死亡者数が746人で過去最少、企業の安全対策強化が採用力に直結(令和6年)
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「夜勤なし」/准看護師/訪問看護/車で通えます
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「夜勤なし」/正看護師/介護施設/オンコールなし
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「土日祝休み」/准看護師/病院/夜勤なし
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月22日 22:38
令和6年の労働災害発生状況を公表(厚労省)
厚生労働省が令和7年5月30日に発表した令和6年の労働災害発生状況によると、日本の労働環境における安全性は一定の改善を示す一方で、新たな課題も浮き彫りになった。まず注目すべきは、労働災害による死亡者数が746人と、これまでの統計上で最も少ない数値となった点である。前年から9人減少しており、政府や事業者、労働者が一体となって進めてきた安全衛生対策の効果が数値に表れた結果といえる。ただし、この数字は新型コロナウイルス感染症による影響を除外しており、感染症関連を含めた総数は747人となっている。死亡者数が歴史的な最少となったことは、建設業や製造業といった高リスク産業においても安全対策が進展していることを示しているが、同時に死傷者数の増加が新たな警鐘を鳴らしている。
休業4日以上を要する死傷者数は135,718人にのぼり、前年から347人増加し、これで4年連続の増加となった。この傾向は、労働現場における安全確保の必要性が依然として高いことを物語っている。業種別に見れば、製造業が26,676人で最も多く、商業が22,039人、保健衛生業が18,867人、陸上貨物運送事業が16,292人と続いている。これらの業界は、多様な作業形態や人的接触が多いことから、身体的負担や動作ミスによる事故のリスクが高く、特に転倒や無理な動作による腰痛といった事例が顕著である。たとえば、転倒による死傷者数は36,378人と最も多く、前年比でも320人の増加が確認されており、職場環境の見直しや高齢者への対応が求められる。
また、事故の型別に見ると、死亡災害の主な原因として「墜落・転落」が188人で最多、次いで「交通事故(道路)」が123人、「はさまれ・巻き込まれ」が110人となっており、特に建設現場や運送業における安全管理が重要な課題であることが明白である。製造業では、機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数が4,690人と依然として高水準にあり、機械設備の安全設計や作業手順の徹底が不可欠である。こうした状況を受けて、政府は第14次労働災害防止計画を策定しており、令和9年までに建設業や林業の死亡災害をそれぞれ15%以上、製造業の「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数を5%以上、陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上削減する目標を掲げている。
令和7年度はこの計画の第3年目にあたり、具体的な施策としては、労働者の作業行動に起因する災害防止策、高齢者や外国人労働者への対応、さらには多様な働き方に即した安全衛生管理の強化が求められている。特に高齢労働者における死傷率は依然として高く、60歳代以上では死傷年千人率が4.00と、他の年齢層に比べて高い数値を示している。また、外国人労働者においても死傷年千人率が2.71と全体平均を上回っており、言語や文化の違いに配慮した安全教育が急務である。
こうした取り組みの一環として、厚生労働省は毎年7月1日から7日を「全国安全週間」と定め、6月中はその準備期間として全国の事業場に対し、安全意識の啓発と自主的な取組を促進している。この期間には、都道府県労働局を通じて企業や団体に対して具体的な災害防止活動の推進が呼びかけられており、職場単位での安全点検や講習会の開催が奨励されている。
特筆すべきは、転倒による災害の深刻さであり、平均休業見込日数は47.5日と、非常に長期の離職を余儀なくされるケースが多い。政府はこの平均日数を令和9年までに40日以下に抑えることを目指しており、企業もこれに呼応して床材の改善や転倒防止具の導入など、具体的な環境改善に取り組むことが求められている。
安全衛生は単なるコンプライアンスの問題ではなく、企業価値や採用力に直結する経営課題である。とりわけ、若年層や求職者にとっては、安全な職場環境が企業選びの大きな要因となっており、事故が多発する業種では人材確保が難しくなる傾向が強まっている。企業が安全管理に本腰を入れることは、職場の信頼性を高め、離職率の低下や生産性の向上にも寄与する。安全衛生体制の整備状況を採用広報の中でアピールする企業も増えており、今後はこの分野が人材戦略においてさらに重要な位置を占めることが予想される。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ