2025年2月1日
労務・人事ニュース
小売・サービス分野における人手不足の現状と対応策
どうする?日本の人手不足-小売・サービス分野編-(令和6年版 労働経済の分析 分割版動画4/5)(厚労省)
日本の小売・サービス分野における人手不足の深刻さが、近年ますます浮き彫りになっています。この問題をより深く理解するために、労働経済の分析結果を基に現状と解決策を検討してみましょう。
小売・サービス分野の事業所における人手不足は、正社員とパート・アルバイトの双方で顕著です。調査によれば、半数以上の事業所がこれらの人員について不足していると回答しており、特に正社員不足に関しては、約70%の事業所が「当面解消する見込みがない」と考えています。この数字は、単なる一時的な問題ではなく、長期的な課題であることを示唆しています。
さらに、正社員の入職率と離職率を見てみると、人手が足りていないと感じている事業所では、両者が高いことが明らかになっています。これは、人員不足が採用と定着の難しさを伴っていることを示しています。一方で、人手が十分だと回答した事業所では、入職者と離職者がいない割合が高く、定着率の高さが特徴的です。このように、採用だけでなく、働き手が職場に留まりやすい環境を整備することが重要であると考えられます。
人手不足に対処するために効果があるとされる施策も明らかになりました。賃金水準の確保や有給休暇の取得率向上といった取り組みは、働き手を引きつけ、維持するうえで一定のプラス効果をもたらしています。また、業務負担の軽減や多様な人材が活躍できる職場環境の整備、さらに教育や研修制度の充実も、人員確保に有効です。一方で、長時間労働は逆効果であり、人手不足をさらに悪化させる可能性が指摘されています。
これらのデータから、小売・サービス分野での人手不足解消には、職場環境の改善や働きやすさの向上が不可欠であることがわかります。具体的には、賃金アップや柔軟な働き方の導入、さらには労働時間の適正化を進めることが効果的です。同時に、多様な人材を受け入れる文化の醸成や、スキルアップを支援する制度も重要な役割を果たします。
人手不足は、個々の事業所だけでなく、業界全体の課題として取り組むべき問題です。行政や業界団体、企業が連携して、持続可能な労働環境を築くことで、小売・サービス分野の未来がより明るくなることが期待されます。
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