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2024年6月29日

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日本の介護現場における外国人介護人材の役割と課題:第7回検討会中間まとめ案の詳細解説

イメージ図

第7回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料(厚労省)

令和6年6月19日に開催された第7回検討会の中間まとめ案では、外国人介護人材の受け入れとその業務の在り方について詳細に議論されました。この検討会の目的は、介護分野での外国人材の活用を促進しつつ、介護サービスの質を維持し、適切な労働環境を整備することです。

検討会の背景として、技能実習制度と特定技能制度の二つの枠組みが紹介されました。技能実習制度は「本国への技能移転」を目的としており、特定技能制度は「日本国内の人手不足対策」を目的としています。この二つの制度を通じて、外国人介護人材が日本で適切に働き、スキルを習得し、介護サービスの質を向上させることが期待されています。

介護を必要とする高齢者の増加に伴い、介護人材の確保が急務となっています。政府はこれまでにも、介護職員の処遇改善や多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進、介護職の魅力向上、外国人材の受け入れ環境整備など、総合的な対策を講じてきました。特に、特定技能の受け入れ見込数が令和6年度から5年間で13.5万人とされており、今後も国内の人材確保対策を強化しつつ、外国人材の確保・定着を進めることが求められています。

技能実習制度では、外国人介護人材が日本語能力「N4」以上を持つことが求められています。特に1年目には「N4」程度、2年目以降には「N3」程度の日本語能力が望ましいとされています。これにより、コミュニケーションを円滑にし、介護サービスの質を保つことが目的です。一方、特定技能制度では、施設系サービスでの実務経験を重ねることで、技能の習得とキャリアアップを目指します。また、特定技能制度創設後は、各在留資格に対する理解が進み、受け入れ事業所数も増加しています。

訪問系サービスでは、利用者と介護者が1対1で業務を行うため、適切な指導体制や権利保護が求められます。現在、技能実習生による訪問系サービスへの従事は認められていませんが、EPA介護福祉士候補者や介護福祉士資格を有する外国人介護人材については、一定の条件の下で訪問系サービスへの従事が認められています。訪問系サービスに従事する外国人介護人材には、介護職員初任者研修の修了やOJT(On-the-Job Training)を通じた指導が必要です。また、キャリアアップを目指す外国人介護人材に対しては、資格取得支援や国家試験の受験環境の整備が重要です。

外国人介護人材の訪問系サービスへの従事を進めるためには、介護職員初任者研修を修了した有資格者等であることを前提にすることが求められます。さらに、事業者に対しては、適切な指導体制やハラスメント対応等の履行体制を確認し、サービス提供責任者等の意見を踏まえて訪問先を選定し、従事に際しては利用者・家族に丁寧な説明を行うことが求められます。また、施設サービス等での実務経験がない場合には、OJT期間を長く設定し、日本語学習支援に取り組むことも重要です。

外国人介護人材の受け入れと業務の在り方については、介護サービスの質を保ちながら、外国人材がキャリアアップしやすい環境を整備することが重要です。日本国内での介護人材不足を補うために、適切な制度設計と受け入れ体制の強化が求められています。これにより、外国人介護人材が日本で長期間働き続け、介護サービスの質の向上に貢献することが期待されます。

以上のように、外国人介護人材の受け入れ拡大と業務の在り方についての議論は、日本の介護現場にとって重要な課題です。外国人介護人材が安心して働ける環境を整備し、質の高い介護サービスを提供できるよう、今後も国や受け入れ事業者が連携して取り組むことが求められます。

参考:資料1 外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 中間まとめ(案)

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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