2025年5月5日
労務・人事ニュース
被害急増中、口座情報を狙う詐欺に注意―不正送金の新手口が明らかに
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不正に登録されたインターネットバンキングから送金が行われる詐欺被害について(警察庁)
警察庁が2025年4月18日に発表した広報資料によると、近年、インターネットバンキングを悪用した詐欺被害が新たな手口で発生していることが明らかになりました。被疑者は、実在する通信業者や公共料金事業者などの名をかたり、被害者に対して未納料金の支払いを求める名目で電話をかけてきます。その際、口座番号や暗証番号などの情報を巧妙に聞き出し、これらの情報を用いて被害者が利用する金融機関のインターネットバンキングを不正に登録し、その後、被害者の口座から被疑者が管理する口座へと資金を送金するという極めて巧妙かつ悪質な詐欺手法が確認されています。
この手口では、被疑者が最初に信頼できそうな企業を名乗り、電話で被害者に接触します。「○○料金が未納です。支払い手続きのため、口座番号と暗証番号を教えてください」といった形で情報を聞き出すのが常套手段です。その後、被疑者は被害者になりすまして金融機関のインターネットバンキング利用登録を開始し、本人確認として求められるワンタイムパスワードを被害者に電話で伝えさせるなどして、登録を完了させます。このようにして不正に登録された口座から、犯人側の口座への送金が行われ、被害者は初めて事態に気づくことになります。
このような被害を未然に防ぐためには、まず第一に「電話で口座番号や暗証番号を聞かれたら、それは詐欺である」と認識することが重要です。銀行や公共機関が電話でこれらの情報を尋ねることは絶対にありません。情報を要求された場合は、その時点で疑い、冷静に対応する必要があります。次に、自分の口座に身に覚えのない取引がないかどうかを定期的に通帳記帳やインターネットバンキングの明細確認などを通じてチェックする習慣を持つことも有効です。異常な動きが確認された場合は、速やかに警察や金融機関に相談することが被害拡大を防ぐ鍵となります。
また、この種の詐欺を防ぐ上で特に重要なのは、家族とのコミュニケーションです。被害者となる多くのケースでは、高齢者が狙われやすい傾向にあります。高齢の家族がいる場合は、定期的に詐欺の手口について話し合い、「こういった電話が来ても応じないように」と注意喚起をしておくことが大きな予防策になります。詐欺の手口は年々巧妙化しており、情報通信技術を駆使した犯罪は、今や誰もがターゲットになり得る時代に入っているといえます。
また、企業にとっても、このような詐欺は対岸の火事ではありません。従業員が詐欺に巻き込まれた結果、社内で使用する口座や顧客情報が二次被害につながる可能性も考えられます。特に社内で業務用にインターネットバンキングを導入している企業では、管理者と利用者のアカウントを明確に区別し、個人が暗証番号を他人に漏らすことがないような情報管理体制の構築が必要不可欠です。社内研修などで情報セキュリティ教育を行い、詐欺の最新手口に関する情報共有を行うことは、リスクマネジメントの観点からも極めて有効です。
さらに、万が一被害が発生した場合の社内対応マニュアルや、関係部署への報告フローなども事前に整備しておくことが求められます。情報漏洩や資金流出が明るみに出た際、迅速に対応できるか否かが、企業の信頼性を大きく左右するからです。加えて、企業がサポートする家庭への注意喚起として、社員が家族へ情報を共有できるような社内広報も実施すべきでしょう。
今回の警察庁の注意喚起は、個人のみならず、企業にとっても他人事ではない警鐘であり、日々の情報管理の在り方やセキュリティ教育のあり方を再確認する機会となります。金融機関をかたる詐欺が巧妙化する中で、「電話で暗証番号を聞かれたら、それは詐欺」という明快なメッセージを広く社会に浸透させていくことが、被害を減らすうえでの最初の一歩となるでしょう。
⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ