2025年7月9日
労務・人事ニュース
【令和7年4月】パート時給1,369円で前年比4.1%上昇、採用市場で進む待遇競争の現実
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歯科衛生士/週休2日制 マイカー通勤OK 長期休暇あり 宇美駅と福岡空/一般歯科 小児歯科
最終更新: 2025年7月8日 21:01
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歯科衛生士/昇給あり 駅チカ5分 交通費あり 常に患者様の立場にたっ/一般歯科 予防歯科 インプラント ホワイトニング・審美歯科
最終更新: 2025年7月8日 21:01
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年7月8日 22:36
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「夜勤なし」/正看護師/訪問看護ステーション/訪問看護/残業ありません
最終更新: 2025年7月8日 22:36
毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果確報 時系列第7表 時間当たり給与(パートタイム労働者) (厚労省)
令和7年4月におけるパートタイム労働者の時間当たり給与に関する統計結果は、日本の労働市場における変化を端的に表すものとして、多くの企業が注目すべき内容となっています。このデータは、厚生労働省が実施する毎月勤労統計調査に基づいており、事業所規模5人以上を対象に算出された時間当たり給与の推移を明らかにしています。特に、パートタイム労働者という非正規雇用層の賃金変化は、企業の採用・労務戦略に直接的な影響を与える要素として重要視されています。
統計によれば、令和7年4月におけるパートタイム労働者の平均時間当たり給与は1,369円となり、前年同月比で4.1%の上昇を記録しました。前年同月の水準は1,315円であり、これと比較しても継続的な上昇傾向が確認されます。このような増加は、最低賃金の引き上げや人手不足を背景とした時給水準の底上げが主な要因と考えられ、特にサービス業や小売業、介護などの業種で人材確保が急務とされていることが影響しているとみられます。
直近数年間の動向を振り返ると、パートタイム労働者の時間当たり給与は着実に上昇を続けています。令和3年の年間平均は1,223円であったのに対し、令和4年には1,242円となり、前年比で1.6%の増加を示しました。さらに令和5年には1,279円に上昇し、同年の上昇率は3.0%と加速度的な傾向が見られました。そして令和6年には1,341円に到達し、前年比では4.9%という大幅な伸びを記録しており、この流れが令和7年にも引き継がれている形となります。中でも、令和7年2月の時間当たり給与は1,385円、3月は1,378円、4月は1,369円と、わずかに月ごとに変動はあるものの、年間を通じて高水準を維持している点が特徴的です。
こうした時給の上昇は、企業にとってコスト増を意味する一方で、求職者にとっては労働条件の改善と生活の安定化を期待できるポジティブな動きでもあります。とりわけ、採用活動においては、この平均水準を基に自社の提示条件が競争力を持っているかを判断する材料として活用されることが増えており、待遇面の見直しを検討する企業も少なくありません。また、時給の水準が高いことで、パートタイムでも長期的に働きたいと考える人材の確保につながり、定着率の向上にも寄与する可能性があります。
このような背景のもと、企業の採用担当者は、地域や業種における標準的な時給水準と比較して、自社の給与がどの位置にあるのかを定期的に見直す必要があります。特に都市部では人材の流動性が高く、少しでも高待遇の求人に応募者が集中する傾向があるため、時給設定における細やかな工夫が求められます。一方、地方では賃金水準の引き上げが遅れがちな傾向もありますが、リモートワークの浸透や働き方改革の進展によって、地域を問わない人材確保の機会が増えていることから、全国平均の水準を意識した報酬設計が必要となる場面も増加しています。
また、時間当たり給与の上昇が示すもう一つの重要なポイントは、企業の業務設計に与える影響です。限られた労働時間の中で成果を求める働き方が主流になってきていることから、業務効率の向上や生産性の見直しが急務となっています。単に時給を上げるだけではなく、従業員がより少ない時間で同等もしくはそれ以上の成果を出せるよう、業務フローの見直しやシステム化、教育研修の充実といった施策を併せて進める必要があります。
さらに、時給上昇がパートタイムという雇用形態に対する社会的な評価の変化を後押しするという側面も見逃せません。これまで短時間勤務は補助的な役割とみなされがちでしたが、専門性や経験を持つ人材が限られた時間で高い成果を上げるケースも増えつつあり、企業としてもそうした人材を活かす体制を整備することが重要です。そのためには、評価制度や昇給ルールの整備など、従来の正社員中心の制度設計からの脱却が求められています。
このように、パートタイム労働者の時間当たり給与の変化は、単なる賃金水準の話にとどまらず、企業の採用方針や組織運営全体に大きな影響を及ぼす要素となっています。令和7年4月時点での平均時給1,369円という数字は、単年の変動ではなく継続的な上昇トレンドの一部であり、企業としてはこの事実を踏まえたうえで中長期的な人材戦略を描くことが求められます。採用担当者としては、自社の求人が市場においてどの程度の魅力を持つか、またその魅力をどのように維持・強化していくかについて、こうした統計データを活用しながら柔軟に対応していくことが重要になります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ