2025年7月9日
労務・人事ニュース
【令和7年4月】全産業平均で月間総労働時間139.5時間、前年比1.3%減で働き方改革の成果
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看護師/福岡県/北九州市小倉北区/南小倉駅
最終更新: 2025年7月8日 07:36
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看護師/福岡県/福岡市東区/西鉄香椎駅
最終更新: 2025年7月8日 07:36
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「保育士」賞与あり・認定こども園
最終更新: 2025年7月9日 01:01
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介護職員/介護福祉士/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年7月8日 03:01
毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)
令和7年4月の毎月勤労統計調査では、全国の事業所を対象に労働時間の状況が詳細にまとめられました。とくに事業所規模5人以上における産業別の総実労働時間や所定内・所定外労働時間、出勤日数の実態が明らかとなり、企業の労務管理や働き方改革の進捗状況を客観的に把握する上で非常に有意義な内容となっています。採用担当者にとっては、こうした業種別の労働時間データをもとに、自社の勤務実態が市場水準に合っているかどうかを見直す機会になるでしょう。
まず、調査産業全体の平均として、月間の総実労働時間は139.5時間となり、前年同月比で1.3%の減少となりました。これは全体的に労働時間が短縮傾向にあることを示しており、所定内労働時間も129.3時間で同じく1.3%減となっています。所定外労働、いわゆる残業時間については10.2時間で前年比2.8%の減少、出勤日数は18.0日で前年同月より0.2日少ない結果となりました。これらの数値は、全産業的に労働時間削減が意識されている状況を表しており、法定労働時間の遵守やワークライフバランスの改善を重視する企業方針が反映されているものと考えられます。
しかし、産業別に分析していくとその傾向は一様ではありません。たとえば、鉱業・採石業などでは総実労働時間が163.0時間と全産業平均を大きく上回っており、前年比では7.5%も増加しています。所定内労働時間は151.8時間で11.2%の増加、出勤日数は20.5日と非常に多く、前年同月より1.7日も多く勤務している計算になります。その一方で所定外労働時間は11.2時間で前年比25.8%も減少しており、全体としては勤務日数が増えた分、時間外労働の負担が軽減されたという読み方も可能です。このような勤務実態は、労働集約型で現場重視の業務内容が特徴の業界において、計画的な労務配分が行われた結果であるとも解釈できます。
建設業でも同様に労働時間は長めで、総実労働時間は165.2時間と全産業で最も高くなっています。所定内労働時間が152.5時間、所定外労働時間が12.7時間で、前年に比べ所定内は1.4%減、所定外は2.4%増と、全体としては時間外労働の増加が見られます。出勤日数は20.4日でほぼ前年並みですが、この業種ではプロジェクト進行に合わせて労働時間が大きく変動する傾向が強く、一定の繁忙期が反映された結果と言えます。
製造業においては、総実労働時間が159.8時間で前年比0.9%の減少、所定内労働時間が146.2時間で1.2%の減少と、やや抑制的な働き方が進んでいる様子がうかがえます。所定外労働時間は13.6時間で前年より3.1%の増加、出勤日数は19.3日で0.2日減少しました。製造業では自動化や工程改善によって労働時間を抑制する動きが続いていますが、依然として時間外労働による対応が必要な工程も多く、課題が残る分野と言えるでしょう。
一方、電気・ガス業においては、総実労働時間が161.6時間、所定内労働時間が144.3時間と比較的高い水準を維持しています。所定外労働時間は17.3時間で前年比4.8%の増加、出勤日数は19.2日で前年同月比0.1日の増加となっており、重要な社会インフラを担う業界として、緊急対応や保守業務などが日常的に発生している様子がうかがえます。労働時間の適正化と安全管理の両立が求められる中で、非常にバランスの難しい業界といえるでしょう。
このように、各産業における労働時間や勤務日数の実態は大きく異なり、それぞれの業種が抱える業務特性や市場の需要により労務環境に差が生じていることが明らかになっています。企業の採用担当者にとっては、自社の属する業界の標準的な労働時間と出勤日数を把握することが、応募者とのミスマッチを防ぐうえで極めて重要です。労働時間が過度に長くなると、働き方に対する価値観の多様化が進む現代においては、求職者から敬遠される要因ともなり得るため、業界標準を参考にしつつも、企業独自の働きやすさをどう設計するかが問われています。
特に時間外労働の状況は、採用活動において労働環境の透明性を示す指標にもなります。一部の業種では残業時間が月10時間を下回っている一方で、電気・ガス業や製造業では17時間前後に達しており、過重労働のリスクが常につきまとう現実が浮かび上がっています。そうした中で、労働時間の見える化を進め、改善に向けた取り組みを積極的に開示することが、企業ブランドの向上や信頼性確保につながります。
また、出勤日数の差も注目すべきポイントです。鉱業・採石業等が20.5日と最も多く、建設業が20.4日、製造業が19.3日と続いています。対照的に、調査産業全体の平均は18.0日であることから、業界ごとに週休の運用方法や勤務形態に違いがあることが分かります。こうした情報は、求職者が「休みが取りやすいか」「働き方に柔軟性があるか」といった観点から職場を選ぶ際に重要な判断材料となるため、採用担当者は積極的に発信していくべきでしょう。
このように、令和7年4月の毎月勤労統計調査の結果からは、業界ごとの働き方の差異がはっきりと浮き彫りになっており、企業の採用戦略において非常に有益な情報が得られます。賃金データと合わせて労働時間の動向を把握することにより、自社が市場環境においてどの位置にあるのかを客観的に捉えることが可能となり、人材確保に向けた戦略的な施策立案にもつながります。採用担当者は、こうした公的統計をうまく活用し、求職者に対して魅力ある労働環境を提示していくことが、今後ますます重要になっていくでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ