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2025年8月10日

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グローバル投資が記録的低水準、2025年上半期M&A停滞の実態とは

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2025年版 ジェトロ世界貿易投資報告(JETRO)

世界各地で通商政策の不透明感が増す中、ジェトロが発表した「2025年版世界貿易投資報告」は、グローバルビジネスの耐性が問われる時代に突入していることを明確に指摘している。年次で刊行されているこの報告書は、日本企業をはじめとする世界中の事業者に向けて、貿易や投資の最新動向を詳細に伝えるもので、企業の中長期的な経営戦略にとって欠かせない分析ツールとなっている。

2024年は、世界貿易全体としては数量・金額の両面で増加を見せたものの、2025年に入り、その成長曲線に陰りが見えている。背景にあるのは、米国による追加関税措置の導入と、それに伴う国際的な需給バランスの動揺だ。報告書では、この動きが世界中のサプライチェーンに広範囲な影響を及ぼしていると指摘。特に日本企業にとっては、製品価格の見直しや販路の再構築が急務となっている。

さらに、地政学的リスクの高まりにより、各国政府の産業政策が通商の枠を超えて民間企業の意思決定にまで深く入り込むようになっている。これが国際的な直接投資の停滞を招いており、2025年上半期におけるグリーンフィールド投資やクロスボーダーM&Aの水準は、近年稀に見る低さである。今後も中東や東南アジアなどグローバルサウス地域での市場争奪が激化し、企業はより慎重なリスク分析と柔軟な対応力を求められる。

報告書ではまた、国際通商秩序が大きく揺らいでいる現状を明確にし、保護主義的な措置の増加とそれに対する各国の対抗政策が、国際ルールを空洞化させていると警鐘を鳴らす。これにより、日本企業には、輸出管理やコンプライアンス体制の強化、取引先国の動向把握といった実務面での即応性が強く求められるようになっている。

一方で、日本は自由貿易の旗手として、CPTPPをはじめとする多国間の経済連携を軸に通商秩序の再構築を目指している。とりわけ、グローバルサウス諸国との連携強化が今後のカギとなり、日本がいかに外交力と経済力を統合して交渉を主導できるかが問われている。

サステナビリティの視点でも、世界の政策動向は大きな変化を迎えている。報告では、米国政権による環境政策の転換や、EUによる企業への報告義務の緩和が、企業の対応力に新たな試練を与えるとした。グローバル企業は、短期的な業績にとらわれず、ESGに関する透明性や持続可能な経営指針の策定を進めなければ、国際的な信頼を失いかねない。

このような激動の時代において、採用担当者には、グローバル経済の本質を理解し、変化への対応力を持つ人材をいかに確保・育成するかという観点が強く求められる。経済の地殻変動とも言える時代において、柔軟性・論理的思考・国際感覚といったスキルは、単なる評価項目ではなく企業の生存を左右する戦略資源となる。

⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ

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