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2025年4月23日

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サステナビリティ開示基準に沿った移行計画で若手人材の採用力を強化

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「地域金融機関における移行計画策定・エンゲージメント 実践ガイダンス」の公表について(環境省)

2025年3月31日、環境省は「地域金融機関における移行計画策定・エンゲージメント実践ガイダンス」を公表しました。これは、気候変動に対応するための脱炭素経営を金融分野から支援する取り組みの一環であり、地域金融機関が自らの移行計画を策定するとともに、取引先企業に対するエンゲージメントを通じて脱炭素化を推進することを目的としています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が2021年10月に発表したガイダンスにおいて「移行計画」という概念が打ち出されて以降、国内でも企業に対してこの計画の開示を求める制度整備が進められており、地域金融機関もこの動きに呼応して対応を強化する必要があるとされています。

このガイダンスでは、金融機関が自らのファイナンスド・エミッション、すなわち投融資先企業から排出される温室効果ガス量を明確に把握し、それに基づいた移行計画の立案と、優先セクターの特定が最初のステップとされています。特にPCAF(カーボン会計金融パートナーシップ)が提供する国際的な算定基準を参考にしており、これによりポートフォリオ全体の排出量を定量的に把握することが可能になります。算定結果をもとに、排出量の多いセクターや地域、既存の取引関係や支援実績を総合的に評価し、最もインパクトの大きいセクターを優先対象として選定することが求められています。

次のステップとして、選定した優先セクターに対し、具体的な移行計画の骨子を策定することが求められます。この骨子には、移行計画の基礎的な背景や目的、既存および新規の金融・非金融支援策、主要企業の選定とエンゲージメント戦略の構築、排出削減目標の設定などが含まれています。たとえば、優先セクターに対してサステナビリティ・リンク・ローンやポジティブインパクト・ファイナンスの提供を行い、同時に排出量可視化ツールやヒアリングシートを活用することで、金融と情報支援を一体化させた伴走支援が可能となります。

その上で、策定した骨子をもとに実効的なエンゲージメントを実施することが不可欠です。エンゲージメントとは単なる対話ではなく、実質的な行動変容を引き出すためのプロセスです。たとえば、半年ごとに進捗を確認し、成果や課題を踏まえて計画をローリングで見直す体制を構築したり、取引先の経営者層と直接対話を行い、経営戦略に脱炭素の視点を組み込むよう働きかけることが挙げられます。加えて、地域の自治体や業界団体と連携した面的エンゲージメントを活用することで、影響力を持続的に拡大することも推奨されています。

また、移行計画は金融機関自身の内部戦略としても策定されるべきものです。本ガイダンスでは、GFANZ(ネットゼロに向けた金融機関連携)やTPT(移行計画タスクフォース)など国際的な枠組みに準じた5つの開示要素に沿って、金融機関全体の移行計画を整理・公開することが推奨されています。これらの要素には、基礎情報(経営計画との関連性)、実行戦略(自社のGHG削減計画と商品開発)、エンゲージメント戦略(顧客や業界、政策当局との連携)、指標と目標(ファイナンスド・エミッション削減など)、ガバナンス(経営体制や人材育成制度)といった観点が含まれており、実効性を伴う計画立案が求められています。

今後の展開としては、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が2025年3月に確定基準を発表したことで、移行計画の開示がいよいよ国内企業に対しても強く求められる時代に突入します。大手金融機関ではすでに対応が進んでいますが、今後は地域金融機関においても同様の取り組みが求められ、移行計画とエンゲージメントの実践が経営戦略上の重要な柱になることは間違いありません。

採用担当者にとっても、これらの取り組みは企業価値を大きく左右するテーマであることを認識すべきです。脱炭素対応への真剣な取り組みは、単なる規制対応ではなく、企業の持続可能性や社会的信頼、さらには優秀人材の確保にまで影響を及ぼします。特に環境意識の高い人材や若手層は、企業が環境課題にどう向き合っているかを重要視する傾向にあり、移行計画を明確に示している企業は、それだけで選ばれる理由になり得るのです。従って、サステナビリティ経営を理解し、社内に浸透させる人材の採用・育成は今後の競争力に直結するといえるでしょう。

⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ

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