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2025年8月7日

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スポットワークでも労基法第26条適用、厚労省がリーフレットで制度整理

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いわゆる「スポットワーク」における留意事項等をとりまとめたリーフレットを作成し、関係団体にその周知等を要請しました。(厚労省)

令和7年7月4日、厚生労働省は短時間・単発の労働を対象とする「スポットワーク」に関する注意点を整理したリーフレットを公表しました。この資料は、労働者と使用者の双方に向けた内容となっており、スポットワークの実態に即した適切な雇用管理の重要性を広く伝えるものです。また、スポットワークのマッチングや賃金立替払いを行うアプリの提供事業者が多く加盟する一般社団法人スポットワーク協会にも、同リーフレットを通じた周知の協力を要請しました。

スポットワークとは、従来の定職型雇用とは異なり、短時間かつ単発での業務を前提とした雇用形態です。労働契約が成立するタイミングが曖昧になりやすく、法令上の認識や対応にずれが生じることが懸念されています。今回のリーフレットでは、こうした課題を踏まえ、まず労働契約の成立時期に関して明確な指針を示しています。特に、スマートフォンアプリなどを介して、事業者が求人を出し、それに労働者が応募し、面接などを行わずに即時にマッチングが成立する形式の場合、特段の取り決めがなければ、労働者が求人に応募した時点で労働契約が成立したと見なされるとされています。つまり、応募した瞬間から法的保護が発生する可能性があるため、企業側はその意識を持って管理を行う必要があります。

また、業務の中止や早退が発生した際の対応についても具体的な取り決めが求められています。事業者の都合により、労働契約が成立した後に1日まるごとの休業や業務の早上がりを命じた場合には、労働基準法第26条に基づき「使用者の責に帰すべき事由による休業」と見なされ、労働者には休業手当の支払い義務が発生します。このため、たとえ短時間の契約であっても、事業者側が一方的に労働の機会を奪った場合には、それに見合った補償を行うことが法律上求められています。

さらに、予定された労働時間と実際の就労時間が異なった場合の賃金の取り扱いについても注意が必要です。たとえば、労働者から労働時間に関する修正申請があった際には、予定時間通りの賃金を速やかに支払ったうえで、実際の労働時間について事実確認を行い、最終的な賃金を確定する流れが推奨されています。賃金は労働者にとって生活の根幹を支えるものであり、支払いの遅延や不確実性は深刻な問題を引き起こしかねません。したがって、短期契約であっても、雇用主には迅速かつ適正な対応が強く求められます。

厚生労働省はこのリーフレットの作成にあたり、労働基準法をはじめとする関係法令を踏まえ、現場での実務にも応用できるよう分かりやすくまとめています。労働者向けと使用者向けの2種類が用意されており、それぞれが直面する状況に即した内容が盛り込まれています。特に、スポットワークが広がる中で、法令のグレーゾーンにある部分に明確な指針が提示されたことは、雇用管理の適正化とトラブル防止の観点からも非常に重要です。

企業の採用担当者にとって、スポットワークは人材確保の柔軟な手段として活用しやすい反面、法令順守や対応の迅速さがこれまで以上に問われます。雇用契約の成立を曖昧にしたままの運用や、労働者の申告を軽視した処理は、トラブルの原因となるだけでなく、企業の信頼にも大きく関わってきます。今回のリーフレットは、そうしたリスクを未然に防ぐための有効な資料として、採用現場や管理部門での活用が期待されます。

厚生労働省では今後もこのリーフレットを通じて、スポットワークに関連する留意事項の周知徹底を図っていくとしています。スポットワークの普及が進む中で、働き方の多様性を尊重しつつ、適切な労働環境を整備するための取り組みが今後さらに求められるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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