2025年7月18日
労務・人事ニュース
スポットワークの賃金未払いや労働時間の未管理が急増、採用担当者が知るべき基本ルール
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IT事務/月収例29.5万/土日祝休み/未経験から手に職/残業月10h以内/リモートあり
最終更新: 2025年7月17日 21:02
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IT事務/月収例29.5万/土日祝休み/未経験から手に職/残業月10h以内/リモートあり
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IT事務/月収例29.5万/土日祝休み/未経験から手に職/残業月10h以内/リモートあり
最終更新: 2025年7月17日 21:02
いわゆる「スポットワーク」の留意事項等(厚労省)
近年、急激に拡大を見せている「スポットワーク」と呼ばれる短時間・単発の就労形態に対して、厚生労働省が事業者と労働者双方に向けて留意事項をまとめたリーフレットを発表しました。これは、従来の働き方とは異なる特徴を持つスポットワークに関し、雇用契約や賃金支払いなどに関するトラブルを未然に防ぐためのガイドラインとして位置づけられます。スポットワークは、求人と応募のマッチングが雇用仲介アプリによって迅速に行われる点が特徴で、登録者数・利用者数ともに全国的に増加傾向にあります。
スポットワークの本質は、アプリを通じて企業が求人を掲載し、それに対して労働者が応募することで労働契約が成立するという仕組みにあります。面接などを省略し、即座にマッチングが成立するケースが多く、その利便性ゆえに多くの企業や労働者に利用されています。しかしながら、こうした即時的なマッチングにより、労働契約の成立時期や条件が不明確なまま就業が開始されることも多く、賃金の未払いや労働時間の申告漏れなどのトラブルが発生しているのが現状です。
この点について、厚生労働省は、まず「労働契約が誰と誰の間で締結されるのか」という基本的な認識を明確に持つことを求めています。スポットワークにおいては、雇用仲介アプリを提供する事業者と労働者が契約を結ぶのではなく、労働契約は求人を出した企業と労働者の間で直接成立します。したがって、労働条件の明示や通知書の交付は企業の義務であり、仲介業者の代行に頼っていても、その内容や交付の有無について企業側が確認する責任を負うことになります。
加えて、労働契約が一度成立した後は、労働基準法などの関係法令が適用され、労働時間や賃金の支払いに関するすべての義務が発生します。例えば、指定された制服への着替えや、業務終了後の後片付けなど、事業主の指示に基づく一連の行為も労働時間に該当し、これに対して賃金を支払う必要があります。また、就業開始前の待機時間も労働時間と見なされるため、その時間についても給与が発生するという理解が求められます。
さらに重要なのが、企業側の都合による就労キャンセルや勤務時間の短縮についてです。これらは「使用者の責に帰すべき事由による休業」とされ、労働基準法第26条に基づき、原則として休業手当を支払う義務が生じます。特に、労働者がその日のために準備を整えていたにもかかわらず、直前にキャンセルされると、代替の就労機会を失う可能性が高いため、企業側にはキャンセルに関する期限や条件を明示する責任があります。
一方、労働者側も、自身の労働契約の成立条件や労働条件通知書の内容についてしっかり確認する必要があります。例えば、賃金額、支払日、就業時間、業務内容、雇用主の氏名などが明記されているか、事前に確認することが望まれます。もしこれらの情報が提供されていない場合は、雇用主に明示を求めることができ、それがなされない場合は法令違反として扱われます。
また、アプリによっては賃金の即日払いまたは翌日払いなどのサービスを提供しているケースもありますが、これはアプリ運営事業者とのサービス契約に基づくものであり、雇用主が負う法的支払義務とは別に取り扱われます。したがって、即日払いが実施されない場合には、アプリ運営側に直接確認を行う必要があります。
このように、スポットワークは新たな労働形態としての利便性を持つ一方で、法的な理解と管理が不十分であると、企業と労働者双方にリスクを生じさせます。厚生労働省では、一般社団法人スポットワーク協会などの関連団体を通じて、事業者に対し周知と指導を依頼しており、今後はより一層の法令遵守が求められます。採用担当者にとっても、このスポットワークに関する理解は、自社の雇用リスクを回避し、労働環境の整備を図るために欠かせない視点といえるでしょう。
企業がスポットワーカーを受け入れる際には、特に以下のような点に留意すべきです。第一に、求人を出した時点で労働契約が成立する可能性があるため、条件の提示には十分な注意が必要です。第二に、労働者が申告した実働時間に誤差がある場合、速やかに確認を行い、正確な労働時間に基づいた賃金支払を行うことが求められます。第三に、労働災害やハラスメントの防止に関する教育・対策も怠ることはできません。すべての労働者に対して公平で安全な労働環境を提供することが、企業の信頼と持続可能な成長につながる鍵となります。
最後に、スポットワークの利用は一時的な人手不足の解消などに有効な手段ですが、その利用に際しては従来以上に「契約の明確化」と「法令遵守」が求められる時代になっています。労使双方の信頼関係を築くためにも、企業は自らの労務管理体制を見直し、柔軟性と適正な雇用管理の両立を目指す必要があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ