2025年8月7日
労務・人事ニュース
パートタイム労働者の給与が令和7年5月に11万2036円、前年比3.1%増で待遇改善が進行
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「夜勤なし」/准看護師/特別養護老人ホーム/デイサービス/グループホーム/介護施設
最終更新: 2025年8月21日 23:02
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「夜勤なし」/准看護師/訪問看護/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年8月21日 23:02
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/内科/クリニック
最終更新: 2025年8月21日 23:02
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「土日祝休み」/正看護師/小児科/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年8月21日 23:02
毎月勤労統計調査 令和7年5月分結果確報(厚労省)
令和7年5月分の毎月勤労統計調査により、国内の賃金や労働時間に関する最新の実態が明らかとなりました。今回の調査では、全国の3万2736の事業所を対象に実施され、回収率は76.9%という高水準を記録しました。これは企業や業界団体の協力により得られた精度の高い統計であり、現在の雇用環境を把握するうえで重要なデータといえます。
調査によると、5人以上の事業所における1人あたりの現金給与総額は、前年同月比で1.4%増加し、30万1592円となりました。30人以上の事業所に限定すると、平均給与は33万7884円で、こちらも1.2%の増加です。とくに注目すべきは、定期的に支給される給与が2.0%増の28万7118円、所定内給与も同様に2.0%増の26万7678円と堅調に伸びている点です。一方で、特別に支払われた給与は1万4474円と、前年同月比で6.6%減少しており、企業の賞与や特別手当の支給に慎重さが見られます。
就業形態別で見た場合、一般労働者の現金給与総額は38万6714円で1.6%の増加となり、所定内給与は33万9454円で2.2%増加しました。これに対し、パートタイム労働者の現金給与は11万2036円で3.1%増、所定内給与も同じく3.1%増の10万7842円と堅調な伸びを見せました。特に注目すべきは、パートタイム労働者の時間当たり給与が4.1%増の1384円に達したことです。これは短時間勤務でも高い生産性や人材価値が認められつつあることを示しており、労働市場の柔軟性を反映しています。
一方、実質賃金に目を向けると、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いて実質化された現金給与総額は83.1と前年同月比で2.6%減少し、消費者物価指数(総合)を用いた場合でも84.7で2.0%の減少となりました。つまり、名目賃金が上昇しているにもかかわらず、物価の上昇により購買力が実質的に低下していることが明らかになりました。具体的には、消費者物価指数が前年同月比で4.0%(帰属家賃除く)および3.5%(総合)上昇しており、物価上昇のスピードが賃金上昇を上回っている現状が浮き彫りになっています。
産業別に見ると、金融・保険業は月間給与が53万8002円で前年比9.2%と大幅に上昇しました。また、情報通信業も45万2311円で5.0%増と好調でした。これに対し、運輸・郵便業は32万2395円で4.7%の減少となり、建設業も38万4213円で2.4%減少しています。特別給与の項目では、飲食サービス業が前年同月比で19.2%減と大きな落ち込みを見せる一方、生活関連サービス業では96.0%の大幅な増加が記録されており、業種ごとの状況の差が鮮明です。
また、共通事業所(前年同月も調査対象だった事業所)における賃金変化を見ると、全体では現金給与総額が2.1%増、所定内給与が2.4%増と安定した伸びを示しました。パートタイム労働者においては、現金給与総額が2.9%増、所定内給与は3.2%増と高い伸び率を記録しており、非正規労働市場の改善も読み取れます。
労働時間に関しては、全体の総実労働時間が134.5時間と1.7%減少し、所定内労働時間も124.8時間で1.8%減少しました。所定外労働時間は9.7時間で、1.0%の減少にとどまっています。これは働き方改革の進展や業務効率化、あるいは景気動向の影響を反映していると考えられます。特に、飲食業や医療福祉、教育分野では所定外労働の抑制傾向が顕著で、労働環境の改善が伺えます。
なお、パートタイム労働者の労働時間は80.2時間と前年同月比で1.0%の減少でしたが、そのうち所定内労働時間が77.9時間で同じく1.0%減少、所定外労働時間は2.3時間で横ばいとなっています。労働時間の調整により、働きやすい環境を整える企業も増えているようです。
全体の労働者数は5167万3千人で1.7%の増加が確認され、そのうち一般労働者は3563万人、パートタイム労働者は1604万4千人となりました。パートタイム労働者比率は31.05%で0.35ポイント増加しており、働き方の多様化が引き続き進んでいることが読み取れます。
企業の採用担当者にとっては、こうした賃金や労働時間の変化、産業ごとの給与傾向を把握することが、自社の人材戦略を構築する上で非常に重要です。特に物価上昇に見合った賃金設定や、柔軟な働き方に対応した勤務形態の整備が求められています。今後も毎月勤労統計の動向を注視することで、より実態に即した採用計画や労務管理が可能になるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ