2025年6月13日
労務・人事ニュース
レガシーシステム保有率74%の現実が浮き彫りにする日本企業のDX人材不足と経営課題
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最終更新: 2025年6月13日 20:38
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レガシーシステム脱却に向けた「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を取りまとめました(経産省)
2025年5月28日、経済産業省は「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を取りまとめ、公表しました。このレポートは、2024年6月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づいて設置された同委員会による議論および、2024年12月から2025年2月にかけて実施された大規模な市場動向調査をもとに、企業におけるDXの進展状況とレガシーシステムの課題、そしてそれらに対処するための方向性について包括的にまとめられたものです。
日本企業の多くは、いまだに旧来の技術や仕組みに依存したシステム、いわゆる「レガシーシステム」を抱えており、それがDX推進の足枷となっています。こうしたシステムは、技術の老朽化やシステムの複雑化、ブラックボックス化、さらには経営的な投資判断の遅れといった複合的な問題を内包しており、企業の機動力や競争力の低下を招いているのが現状です。
本レポートによると、全国約4,000社に対するアンケートの結果、全体の61%がレガシーシステムを保有しており、大企業に限るとその割合は74%にも達しています。特に、基幹系システムを含む大規模な業務アプリケーションについては、いまだにメインフレームで構築されたシステムを運用している企業が多く、移行にあたってはコストと人材の確保という二重のハードルに直面しています。実際、レポートではIT人材の供給が需要の66%にしか満たないという深刻な人材不足が示されており、特にビジネスアーキテクトやデータサイエンティストなどの上流人材の不足が目立っています。
また、経営層の関与や情報共有の有無が、モダン化の進展に大きな影響を及ぼしている点も注目に値します。モダン化が順調に進んでいる企業の68%では、経営層と情報システム部門の間での綿密な情報共有が行われており、逆に情報共有が不十分な企業ではブラックボックス化や内製化の遅れ、さらにはモダン化の停滞が顕著となっています。さらに、CxOの設置が可視化・情報共有・ブラックボックス対策・モダン化の進展と有意に相関していることも報告されており、経営トップの意識と行動がプロジェクトの成否を大きく左右していることが分かります。
レガシーシステムのモダン化は単なる技術更新に留まるものではありません。業務プロセスそのものの見直しや、企業文化の変革を伴う全社的な取り組みが必要です。レポートでは、現行の業務に特化しすぎたシステムや、度重なるカスタマイズによって複雑化・属人化したシステムが、移行時の大きな障壁となっている実態が浮き彫りにされています。特に現行踏襲への固執は、標準化やパッケージソフトの導入を妨げ、コストと時間の両面で企業にとっての大きな負担となっています。
対策として挙げられているのは、まず経営層による強力なコミットメントです。レポートでは、経営者がITを単なるコストではなく投資と捉え、経営課題としてレガシーシステムの問題を正面から捉えることが出発点であると明言しています。さらに、情報システム部門の自律性の向上、業務部門との連携の強化、そしてベンダー企業との協力体制の再構築も不可欠です。特にベンダー企業については、従来の受託開発型のスタンスから、内製化支援や技術開発を行うパートナーへの変革が求められています。
また、地方企業においては、システムの共同利用による標準化が効果的であるとされており、これは都市部の企業にとっても、導入・運用コストの抑制と保守性の向上を両立させる有効な手段であるとされています。さらに、生成AIを活用したコードの自動解析や開発支援、データ形式の統一・整備といった先端技術の導入も、モダン化の推進に向けた鍵となることが明らかにされています。
このように、レガシーシステムの脱却はもはや一部のIT部門の問題ではなく、企業全体の変革に直結する課題です。企業の経営戦略とIT戦略を統合し、全社一丸となって取り組む体制を構築しなければ、今後の競争環境に対応することは困難でしょう。今後、経済産業省はユーザー企業が自律的にIT資産の状況を把握できるよう、自己診断ツールやガイドラインの整備を進めるとしています。さらに、IT・デジタル人材の育成を支援するためのプラットフォームの整備も検討されており、政策的な後押しも今後本格化する見通しです。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ