2025年4月1日
労務・人事ニュース
一般労働者の平均月給33万円、短時間労働者の時給1,476円!人材確保のカギはどこにあるのか(令和6年賃金構造基本統計調査)
- 「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 介護職員/介護福祉士/デイサービス/日勤のみ
最終更新: 2025年5月1日 03:01
令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 賃金の推移(厚労省)
厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、日本全国の一般労働者の平均賃金は前年と比較して大幅に上昇し、特に女性の賃金増加率が顕著であることが明らかになった。今回の調査は、全国の主要産業に従事する労働者の賃金の実態を詳細に把握する目的で実施され、企業の採用戦略や人事制度の見直しに役立つ貴重なデータとなっている。調査の結果、一般労働者の平均月額賃金は33万400円となり、前年比3.8%の増加を記録した。これは平成3年以来33年ぶりの高い伸び率であり、日本の労働市場における賃金上昇の動きを示している。特に男性の平均賃金は36万3,100円(前年比3.5%増)、女性は27万5,300円(前年比4.8%増)となり、女性の賃金上昇率が男性を上回る結果となった。男女間の賃金格差も縮小し、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金水準は75.8となり、前年より1.0ポイント改善されている。
短時間労働者の賃金も上昇しており、1時間当たりの平均賃金は1,476円で、前年比4.5%の増加を記録した。男性の時間給は1,699円(前年比2.5%増)、女性は1,387円(前年比5.7%増)となっており、短時間労働者においても女性の賃金増加率が高いことが分かる。短時間労働者の平均年齢は45.9歳、勤続年数は6.5年と、一定の経験を持つ労働者の割合が高い。こうした賃金の上昇は、企業の採用活動にも大きな影響を与えると考えられる。特に人材不足が深刻化する中、企業が優秀な人材を確保するためには、給与水準の適正な設定が求められる。
今回の賃金上昇の背景には、いくつかの要因が考えられる。第一に、日本全体で進行している人手不足の影響が挙げられる。特に中小企業では慢性的な労働力不足が続いており、従業員の定着率を高めるために賃金の引き上げを余儀なくされている。近年、多くの業界で経験豊富な人材を確保するための賃金競争が激化しており、企業は待遇の改善や福利厚生の充実など、さまざまな施策を講じている。また、政府の最低賃金引き上げ政策も影響を与えている。全国的に最低賃金が上昇し、それに伴い企業の給与水準が底上げされる傾向が見られる。特にパート・アルバイトなどの非正規雇用者の賃金が上昇することで、短時間労働者の平均賃金の伸びが顕著になっている。
さらに、労働者のスキル向上を支援するための施策も進んでいる。企業が人材育成に力を入れ、社員の成長を促すことで、より高い給与を支払う環境が整いつつある。特に専門性の高い職種では、研修や資格取得支援制度を導入する企業が増えており、これが賃金上昇の一因となっている。例えば、IT業界や医療業界では、高度なスキルを持つ労働者の需要が高まり、経験豊富な人材に対する賃金プレミアムが発生している。こうした動きは、企業の人事戦略において重要な要素となっている。
しかし、賃金の上昇は企業にとってコスト増加の要因にもなるため、経営面での課題も浮上している。特に中小企業では、賃金の上昇が利益を圧迫する可能性があり、労働生産性の向上が求められている。デジタル技術の活用や業務の自動化などを推進し、効率的な働き方を実現することが、今後の企業経営において重要な課題となるだろう。例えば、業務の効率化を図るためにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する企業が増えており、単純作業を自動化することで、人件費の負担を軽減する試みが進んでいる。
こうした状況を踏まえ、企業は賃金制度の見直しや採用戦略の変更を検討する必要がある。特に、優秀な人材を確保するためには、給与面だけでなく、働きやすい環境を整えることも重要である。例えば、フレックスタイム制やリモートワークの導入、育児支援制度の拡充など、多様な働き方に対応する取り組みが求められる。従業員のワークライフバランスを考慮し、長期的に働き続けられる環境を提供することで、企業の魅力を高めることができる。
また、今後の採用市場においては、求職者の意識の変化にも注目する必要がある。賃金の上昇が続く中で、求職者は給与水準だけでなく、企業のビジョンや働き方の柔軟性、キャリアアップの機会などを重視する傾向が強まっている。そのため、企業は採用活動において、自社の魅力を適切にアピールし、求職者の関心を引く施策を講じる必要がある。例えば、求人情報には、具体的な給与水準だけでなく、キャリアパスや研修制度の詳細を記載することで、求職者の興味を引くことができる。
こうした観点から、企業の採用担当者は、今後の労働市場の動向を注視しながら、柔軟な人材戦略を構築することが求められる。賃金の上昇は、企業にとって負担となる側面もあるが、一方で優秀な人材を確保するためのチャンスでもある。市場の変化に適応し、労働者の多様なニーズに応えることで、企業の成長と持続可能な経営を実現することができるだろう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ