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2025年6月26日

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万博効果で来客数が前年比8%増、インバウンド需要が地域経済を牽引する近畿の実態(令和7年5月)

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景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 近畿(現状)―(内閣府)

令和7年5月に実施された近畿地域における景気ウォッチャー調査は、多様な業種や立場からの現場の声を反映した貴重な資料であり、現在の地域経済の動向を詳細に示しています。調査では、一般小売業から観光業、製造業、雇用状況に至るまで、幅広い業界からの報告が集まりました。この中で特に注目すべきは、大阪・関西万博の影響が地域経済に与える波及効果です。多くの事業者がその効果を実感しており、観光やインバウンド需要を中心に来客数や売上が増加したという報告が多数寄せられました。例えば、都市型ホテルではインバウンドによる宿泊需要の増加が見られ、過去最高に迫る売上を記録する施設も出てきています。これは万博開催が単なるイベントに留まらず、地域経済全体を牽引する力となっていることを示しています。

また、コンビニ業界においても、観光客の流入により来客数が前年比で8%増加するなど、明確な伸びが確認されており、外国人観光客が日常消費にも大きな影響を与えていることが分かります。特に日中における外国人客の割合が国内客を上回る時間帯もあるなど、観光インフラと消費行動の関係性が顕著に表れています。このような中、家電量販店でも、猛暑の影響を受けたエアコンの買い替えや、小型の冷却家電の売上増加が報告されており、気候変動が消費行動に与える影響も浮き彫りになっています。

一方で、米価格の高騰をはじめとする物価上昇が家計に大きな影響を与えており、スーパーでは食品の価格感応度が高まっていることが報告されています。これにより、消費者の購買行動が抑制され、特に高額商品やし好品の売上に陰りが見られるようになりました。この動きは百貨店や衣料品店でも同様に観察されており、高額なラグジュアリー商品の売上が減少する一方で、比較的価格の低い日用品や実用的な商品が堅調に推移しています。特に百貨店では、免税売上が前年と比較して大きく減少し、外国人観光客の消費マインドの変化が影響していると考えられます。

また、労働市場においても注目すべき動きが見られます。2026年卒の学生の内定率がすでに5割に達しており、早期化が顕著に進んでいます。これに伴い、2027年卒向けのインターンシップ募集も活発化しており、企業側の採用意欲の高さがうかがえます。一方で、建設業や製造業といった一部業種では求人数の減少が続いており、産業間での求人の二極化が進行しています。加えて、有効求人倍率は横ばいながら、新規求人数は前年比で増加に転じており、雇用環境全体としては下げ止まりの兆しが見られます。

製造業では、食品製造業や輸送機械器具製造業において受注が増加傾向にあり、万博関連の需要やインバウンド消費の回復が貢献している一方で、価格転嫁の困難さや資材費・人件費の上昇といった課題も依然として残っています。とりわけ、繊維業界や建設業では利幅の減少や技能労働者の不足といった構造的な問題が浮き彫りになっており、業界としての対応が求められる段階にあります。また、住宅業界では、新築戸建ての販売が郊外で鈍化している一方で、都心部では外国人や富裕層を中心に好調を維持しているとの報告があり、住宅需要の二極化も進行しています。

このように、近畿地方における経済の現状は、万博による一時的な盛り上がりと、物価上昇や円高の影響による消費の慎重化という二つの相反する力が混在する複雑な構図を呈しています。企業としては、短期的なインバウンド需要を取り込む一方で、物価動向や為替リスクに対する適切な対応策を講じることが重要であり、これが今後の持続可能な経済活動の鍵となるでしょう。また、採用活動においては早期化が進む中で、他社との差別化や自社の魅力を的確に発信するための広報戦略も問われる時代に入っているといえます。今後もこうした地域経済の変化を敏感に捉えながら、機動的な経営判断を下していくことが求められる状況が続くと考えられます。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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