2025年6月27日
労務・人事ニュース
中国地域で求職者利用が8月に220%増加、夏のボーナス期に即戦力人材確保が急務に(令和7年5月先行き)
-
看護師/福岡県/福岡市城南区/福大前駅
最終更新: 2025年6月26日 14:06
-
保険サービス企業での生損保事務のお仕事/駅近/即日勤務可/賞与あり
最終更新: 2025年6月27日 07:07
-
「ブランクOK」/准看護師・正看護師/内科/クリニック
最終更新: 2025年6月26日 22:39
-
「駅チカ」/准看護師/有料老人ホーム/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月26日 22:39
景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 中国(先行き)―(内閣府)
令和7年5月に実施された中国地域における景気ウォッチャー調査の結果は、地域経済の複雑な実態と、今後の景気の見通しに対する業界ごとの多様な意見を浮き彫りにする内容となった。とりわけ家計動向、企業活動、雇用環境の三つの側面から見たとき、期待と不安が入り混じる様相が顕著であった。中国地域では、新規店舗の開業やインバウンド需要の増加など、局所的な好材料が報告される一方で、依然として物価高や国際情勢に起因する不安定要素が強く、慎重な見通しが支配的である。
まず、家計動向においては、複数の小売業者や飲食店から前向きな声が寄せられており、例えば商店街の代表者は、飲食関連の新規出店や空き店舗に対する問合せの増加を挙げ、地域商業の再活性化の兆しが見え始めていると述べた。また、ショッピングセンターの支配人は、円安によるインバウンドの増加が顧客数の増加につながっており、今後もこの傾向が続くと期待を寄せている。スーパーの現場では、燃料油価格の引き下げ措置や備蓄米対応、さらには賃上げなどの施策が、徐々に景気回復への足掛かりとなっているとの認識が示された。一方で、全体的には物価上昇が家計に与える影響は大きく、例えばコンビニの担当者は、商品価格が1〜2年前と比べて3〜4割上昇しており、今後も厳しい状況が続くと見ている。さらに、一般レストランやスーパーでは、客の支出が必要最低限にとどまり、販売数量の減少や客単価の低下といった問題も報告されている。
企業活動に関しては、輸送用機械器具製造業の経営者が「秋に向けて忙しくなる」と述べたように、一部業種では前向きな見通しもあったが、総じて多くの業種が米国の関税政策や国際情勢の不透明さに影響を受けており、慎重な姿勢を崩していない。通信業では、生成AIの利用拡大によるデータセンターのニーズ増加が期待されている一方で、価格転嫁が難しいことによる収益圧迫の懸念も浮上している。製造業全体では、輸出入に直接関わらない企業も、取引先を通じた影響で様子見の姿勢を強めており、米国市場への依存度を下げるための対策が進行中である。また、窯業・土石製品業界では、生産水準の維持が精一杯の状況であり、回復の兆しは限定的とされている。
雇用分野については、民間職業紹介機関の報告によれば、夏のボーナスを契機に転職を検討する人が増加傾向にあり、前年のデータでは5月と8月を比較して利用問い合わせ数が220%増加したとされている。これは労働市場における人材流動性が高まっていることを示しており、特に理系学生の間でジョブ型採用が進展していることも相まって、企業にとっては即戦力人材の確保が一層の課題となっている。また、求人情報誌製作会社によれば、即戦力となる20代後半から35歳未満の人材は極めて売り手市場であり、従来には見られなかった活況を呈しているという。もっとも、景気の先行きに不透明感が強まる中で、自動車関連を中心に求人の絞り込みが始まる可能性があるという警戒もある。さらに、一部の人材紹介会社では、新規採用よりも既存雇用の維持を優先する動きが強まりつつあり、これが投資控えに結びつくケースも確認されている。
今後の景気動向については、回答者の意見が大きく二分されている。たとえば、百貨店やレストランの担当者からは、顧客の節約志向の継続や、仕入価格の高騰による収益圧迫が報告されており、業界全体での消費回復には時間がかかるとの見方が多い。また、通信会社の担当者は、燃料費の高止まりにより家庭のエネルギー支出が増大することを懸念しており、それが通信サービスの需要にも影響を及ぼす可能性があると指摘している。一方で、データセンター利用の増加や万博関連の経済波及効果、さらには備蓄米の市場投入による価格安定への期待など、回復への期待材料も見られる。
このように、中国地域の現状は回復の兆しと困難が混在する極めて不安定な状態である。特に、物価上昇と賃金の乖離、米国の通商政策の不透明さが多くの業種に影を落としており、企業の先行投資や雇用戦略にも慎重さが求められている。景気の下支えには、消費者の購買意欲を引き出す政策や、企業の事業継続を支援する環境整備が不可欠であり、その実現には国や自治体の迅速かつ柔軟な対応が今後のカギを握ることは間違いない。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ