2025年6月28日
労務・人事ニュース
人手不足感が56期連続の大企業、従業員数判断BSI26.9%が示す採用戦略の分岐点(法人企業景気予測調査 令和7年4-6月期調査)
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訪問看護業務/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年6月28日 09:35
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「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月27日 23:04
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「時短勤務可」/准看護師・正看護師/デイサービス/保育園/幼稚園/介護施設
最終更新: 2025年6月27日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年6月27日 23:04
法人企業景気予測調査(令和7年4-6月期調査)(令和7年6月12日公表)(財務省)
令和7年6月12日に公表された法人企業景気予測調査の結果から、今後の日本経済と企業活動、特に採用担当者が注目すべき雇用や人手不足の動向について明らかになった。今回の調査は、企業活動の現状と先行きに対する企業の見通しを把握することを目的に実施されたものであり、資本金1千万円以上の法人を対象に全国規模で行われた。
まず全体の景況感について見ていくと、令和7年4~6月期における「貴社の景況判断」BSI(Business Survey Index)は、大企業でマイナス1.9ポイントと、5期ぶりに下降超へと転じた。中堅企業および中小企業も同様に下降傾向を示しており、企業全体として慎重な姿勢が浮き彫りとなっている。しかし、見通しとしては大企業と中堅企業ともに7~9月期には上昇超に転じると予測しており、一部の業種では持ち直しの兆しも感じられる。ただし中小企業に関しては、引き続き景況感の改善が見込まれておらず、回復の道のりは平坦ではない。
特に注目されるのは、雇用の現状と見通しである。令和7年6月末時点における「従業員数判断」BSIは、大企業で26.9ポイントとなり、実に56期連続で「不足気味」超の状態が続いている。中堅企業、中小企業においても同様に人手不足感が高まっており、企業規模を問わず慢性的な人材不足に直面している実態が明らかとなった。今後9月末、12月末にかけても、全産業において人手不足の傾向は続くと予想されており、企業の人材確保の競争はさらに激化する見込みである。
企業収益については、令和7年度の売上高が前年比で2.1%の増加が見込まれており、製造業で2.2%、非製造業でも2.1%と、全体としては増収傾向にある。一方で経常利益は▲2.1%の減益が予想されており、売上が伸びているにもかかわらず、コスト高や外的リスクの影響を受けて利益率が圧迫されていることが示唆されている。業種別にみると、情報通信機械器具製造業では売上が前年比で13.0%増、サービス業では3.5%増と好調だが、自動車関連では経常利益が▲19.8%と大幅な減益が予測されている。
設備投資の動向も企業戦略の重要な指標であり、今回の調査では、令和7年度の設備投資額が前年比7.3%増となる見通しが示された。製造業では14.3%の増加、非製造業では3.6%の増加が予測されており、特に自動車・同附属品製造業では19.9%、化学工業で18.7%と大幅な伸びを示している。このことから、企業は生産・販売能力の強化や省力化・合理化を目的とした投資を加速させていることが読み取れる。実際、企業の設備投資スタンスでは、「維持更新」が最も重視され、次いで「省力化合理化」「生産能力の拡大」となっており、人材不足を補うための設備更新やオートメーション化が進められていると考えられる。
資金調達の方法に関しては、大企業では「内部資金」が最も重要視され、続いて「民間金融機関」「リース」が上位に挙げられている。中堅企業も内部資金を重視している一方で、中小企業では「民間金融機関」からの資金調達が最も多くなっており、企業規模によって資金調達の手段に違いが見られる点も注目される。
国内の景況判断についても触れておく必要がある。令和7年4~6月期の国内景況BSIは大企業で▲6.2ポイントとなり、こちらも9期ぶりの下降超に転じた。中堅企業や中小企業も同様に下降傾向で推移しており、物価の上昇や原材料価格の高騰、円安などが企業活動に影響を及ぼしていることが背景にあると考えられる。しかし、10~12月期には大企業が再び上昇超に転じる見通しが示されており、一定の回復シナリオも視野に入っている。
採用の観点から最も重要なのは、やはり雇用需給のミスマッチが広がっているという事実である。中堅企業では36.5ポイント、中小企業では28.8ポイントと、それぞれ人材の「不足気味」感が顕著であり、求人活動を行う企業にとっては深刻な課題となっている。採用活動を強化するためには、給与や福利厚生の見直しだけでなく、働き方改革やリスキリングの導入など、中長期的な視点に立った人事戦略が求められる時代となっている。
このように、今回の法人企業景気予測調査の結果からは、売上の回復、設備投資の増加、人材不足の深刻化という3つの大きなトレンドが見て取れる。企業の採用担当者にとっては、これらのデータを基に、業界全体の動向や自社の置かれている状況を的確に把握し、より実効性の高い人材確保策を検討することが急務である。特に、人手不足が企業規模を問わず続いている中では、競合他社に対する採用優位性をいかに確保するかが鍵となる。今後、ますます複雑化・高度化する労働市場において、データに基づいた戦略的な採用が求められる局面に差しかかっているといえる。
⇒ 詳しくは財務省のWEBサイトへ