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2025年6月19日

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人材確保が難化?島根県の2025年4月有効求人倍率1.43倍に企業がどう対応すべきか

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隠岐の島町における有効求人倍率1.91倍が企業の人材確保に与える影響とその対応策

令和7年4月に島根県で発表された最新の有効求人倍率は1.43倍となり、前月の1.40倍から0.03ポイントの上昇が見られました。この数値は全国平均の1.26倍を上回っており、島根県内の企業が人材確保においてより厳しい状況にあることを示しています。有効求人倍率とは、仕事を探している人1人に対してどれだけの求人があるかを示す指標であり、倍率が1.0を超える場合は、求職者よりも求人の方が多い、すなわち人手不足傾向にあるということを意味します。島根県においてこのような傾向が続いている背景には、人口減少と高齢化、若年層の都市部への流出、そして一部産業への求人の偏りといった構造的課題が影響していると考えられます。

採用活動を担当する企業の皆様にとって、有効求人倍率の上昇は単なる数字の変化ではなく、戦略の見直しを迫られる重大なシグナルです。例えば、今回の調査では島根県全体の有効求人倍率は1.43倍でしたが、地域別に見ると隠岐の島町では1.91倍と極めて高く、反対に安来市では0.94倍と1.0を下回るなど、大きな地域差が確認されました。つまり、同じ県内でも地域によって人材確保の難易度が大きく異なるのです。企業の採用担当者は、自社の所在地域における求人倍率を正確に把握し、それに応じた柔軟な採用戦略を展開する必要があります。

たとえば、出雲市や益田市などで1.30倍以上の高倍率が続いている地域では、従来のような求人票の提示だけでは応募が集まりにくくなっている可能性があります。そのような地域では、求職者にとって魅力的な労働条件やキャリアパス、職場環境を具体的に打ち出すことが重要です。特に、働き方の柔軟性や在宅勤務制度、育児・介護支援制度の充実など、時代のニーズに合った制度を整備し、求人情報にしっかりと反映させることで、他社との差別化を図ることが求められます。

一方で、安来市のように求人倍率が1.0を下回る地域では、比較的採用しやすい状況にあるといえます。ただし、それでも求人票の内容が曖昧であったり、他企業と似たような条件ばかりが並ぶ場合には、せっかくの求職者を逃してしまうリスクもあります。このような地域においても、給与や休日数といった基本条件に加え、自社独自の魅力を訴求する姿勢が必要です。加えて、地元の高校・専門学校・大学との連携を強化し、地場産業の魅力を若年層にアピールする活動も有効です。

さらに注目すべきは、正社員に限定した求人倍率の動向です。4月の正社員有効求人倍率は1.23倍と前年同月より0.01ポイント上昇しており、正社員の採用が依然として厳しい状況にあることがわかります。有効求人全体に占める正社員求人の割合も51.5%に達しており、企業が安定した雇用形態を求める姿勢が見て取れます。これに対して、正社員を希望する求職者数とのミスマッチが起きている可能性があり、企業としては、求職者が求める働き方やスキルレベルに合った採用条件の見直しが必要不可欠です。

産業別にみると、「建設業」や「製造業」、「医療・福祉」などでは前年より新規求人が増加している反面、「宿泊業・飲食サービス業」や「教育・学習支援業」では求人が大幅に減少しているという傾向も確認されています。これは、地域経済や観光需要、公共予算などの影響を強く受けている産業であることを示しており、企業側としては業界全体の動向を把握した上で、他産業との連携や異業種からの人材転用も視野に入れる柔軟な発想が求められます。

また、企業の採用担当者が注視すべき点として、離職理由別の求職者数の動向も挙げられます。令和7年4月のデータでは、離職者による新規求職者数は前年同月より増加しており、特に無業者や自己都合による求職者の割合が高い傾向にあります。これは、労働環境やキャリアに対する意識が変化していることの表れであり、企業が求職者に選ばれる存在であるためには、就業後のサポート体制や研修制度の充実が鍵となります。

加えて、企業内での人員整理や解雇の動きも注意が必要です。同月における解雇者数は313人で、前年同月比で110.1%増加しています。これは、業績不振や構造改革を背景に、一定数の企業が雇用調整を進めている現状を示しています。採用担当者は、労働市場全体の需給バランスに加え、地域や業界の経済動向、雇用政策の変化にも敏感に対応することが求められます。

このように、島根県における最新の有効求人倍率を見ても、採用活動の現場は非常に多様かつ複雑な状況にあります。企業は単に人手を求めるだけでなく、採用後の定着や育成も見据えた長期的視点での戦略設計が必要です。そのためには、定量的な指標だけでなく、地域性や業界特性、労働者の価値観の変化にも目を向け、柔軟かつ持続可能な雇用の仕組みを構築することが急務です。採用担当者としては、自社の課題を冷静に分析し、有効求人倍率というデータを武器に、より精度の高い人材確保を実現していくことが期待されています。

⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ

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