2025年3月22日
労務・人事ニュース
令和6年度の血液事業報告が示す輸血医療の現状、献血者数の減少と企業が果たすべき役割
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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最終更新: 2025年5月1日 03:01
令和6年度版血液事業報告について(厚労省)
令和6年度の血液事業報告が公表され、日本の輸血医療と血液製剤の供給体制の現状が明らかになった。血液製剤は病気やけがの治療に不可欠なものであり、その大半は健康な人々の献血によって供給されている。我が国の血液事業は昭和39年の閣議決定を受けて本格的に始まり、昭和49年にはすべての輸血用血液製剤を献血で確保する体制が確立された。現在、血液事業は「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)」に基づき、安全性の向上、国内自給と安定供給の確保、適正使用の推進、透明性の向上を基本理念として進められている。
令和6年度版血液事業報告では、血液製剤の安全性確保と安定供給に向けた取り組みが詳しく紹介されている。血液製剤の安全性については、採血時の健康診断、感染症検査、製造段階での白血球除去、核酸増幅検査(NAT)など、多段階の安全対策が実施されている。特に感染症リスクを低減するための取り組みとして、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの検査が徹底されており、血液製剤による感染リスクを最小限に抑える努力が続けられている。
また、輸血医療の安全性向上のための総合対策が進められており、輸血用血液製剤や血漿分画製剤の適正使用が促進されている。特に、血液製剤の不適切な使用を防ぐために、医療機関への適正使用指導が行われており、治療に必要な最小限の輸血量を確保することが求められている。これにより、限られた血液資源を有効に活用し、患者の安全性を高めることができる。
血液製剤の安定供給に関しても、日本赤十字社を中心に供給体制が整備されている。国内で使用される血液製剤は、基本的に国内の献血によって確保されることが原則となっている。しかし、近年の献血者数の減少が問題視されており、特に若年層の献血率が低下していることが課題となっている。このため、若年層を対象とした献血推進活動が強化されており、大学や企業と連携した啓発活動が行われている。
血液製剤の国内自給率については、輸血用血液製剤の100%が献血由来である一方で、血漿分画製剤については一部を輸入に依存している。これに対し、国内自給率を高めるために、国内での血漿採取量の増加や、血液製剤の効率的な活用が求められている。また、科学技術の発展に伴い、iPS細胞を用いた研究が進んでおり、血液製剤の代替技術が今後の医療現場で活用される可能性もある。
企業の採用担当者にとっても、血液事業の動向は重要なポイントとなる。特に、血液製剤の需要が増加する中で、製薬業界や医療機器メーカーなど、関連企業の人材ニーズが高まっている。献血者の減少に伴い、採血業務を支える人材の確保が求められており、採血業務に従事する医療スタッフの育成が課題となっている。また、輸血医療の適正化に伴い、血液検査技師や輸血管理者など、専門職の需要も増加している。
さらに、企業がCSR(企業の社会的責任)の一環として、社員の献血活動を奨励する動きも広がっている。献血推進活動に協力する企業が増えており、社内での献血イベントの実施や、福利厚生の一環として社員の献血参加を支援する企業も見られる。こうした取り組みは、社会貢献活動としての意義があるだけでなく、企業のブランド価値向上にもつながる。
今後の血液事業の課題としては、高齢化に伴う血液製剤の需要増加、献血者数の減少、輸血医療の適正化などが挙げられる。特に、高齢者の輸血需要が増加する一方で、若年層の献血率が低下している現状を踏まえ、献血推進活動をより一層強化する必要がある。また、血液製剤の安全性向上のために、より高度な検査技術の導入や、血液事業のデジタル化が進められることが期待される。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ