2025年3月16日
労務・人事ニュース
令和6年度10月の調剤医療費が7,179億円に!企業が知るべき健康保険負担の最新動向
- アイリスト/香春口三萩野駅/社員募集/5月2日更新
最終更新: 2025年5月2日 01:06
- 薬剤師
最終更新: 2025年5月2日 04:10
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最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 令和6年度10月号(厚労省)
令和6年度10月の調剤医療費に関する最新の統計データが公表され、医療費の増加傾向が引き続き確認された。厚生労働省の報告によれば、令和6年度10月の調剤医療費(電算処理分)は7,179億円となり、前年同月比で3.7%の増加を記録した。処方箋1枚当たりの調剤医療費も9,308円で、前年同月比で1.9%増加しており、医療コストの上昇が続いていることが明らかとなった。
調剤医療費の内訳を詳しく見ると、技術料は2,001億円で前年同月比4.1%増加し、薬剤料は5,165億円で3.6%増加している。さらに、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用が拡大し、後発医薬品の薬剤料は1,037億円で5.2%増加した。これにより、コスト削減を目的とした後発医薬品の普及が一定の成果を上げていることが示されている。
薬剤料の多くを占める内服薬については、処方箋1枚当たりの薬剤料が5,210円で、前年同月比0.9%の増加が見られた。これを詳細に分析すると、処方箋1枚当たりの薬剤種類数は2.83種類(前年同月比2.1%増加)、1種類当たりの投薬日数は27.2日(1.6%増加)、1種類1日当たりの薬剤料は68円(2.7%減少)となった。これは、1回の処方で使用される薬剤の種類が増え、投薬期間が長くなっている一方で、1種類当たりのコストはやや低下していることを示している。
また、内服薬の総額4,019億円のうち、最も高い費用が発生したのは「その他の代謝性医薬品」で781億円(42億円増加)となった。次いで、「循環器官用薬」が559億円、「腫瘍用薬」が553億円と続き、循環器系疾患やがん治療に関する薬剤の需要が引き続き高いことが分かる。年齢別に見ると、75歳以上の調剤医療費は1,568億円で、85億円の増加を記録し、高齢者向け医薬品の需要が急増している。
都道府県別の分析では、処方箋1枚当たりの調剤医療費の全国平均が9,308円である中で、最も高かったのは高知県の11,211円(1.2%増加)、最も低かったのは佐賀県の8,288円(5.8%増加)だった。また、調剤医療費の伸び率が最も高かったのは徳島県(6.5%増加)、最も低かったのは石川県(0.9%減少)だった。地域ごとの医療提供体制の違いや、薬剤処方の傾向が影響していると考えられる。
後発医薬品の普及状況に関しては、新指標による数量ベースの後発医薬品割合は90.1%に達し、前年同月比で5.3%増加した。薬剤料ベースでは20.1%で0.3%の増加となった。後発品調剤率は82.7%で、前年同月比1.7%の増加となっており、政策的な後押しによる後発医薬品の使用拡大が進行している。
後発医薬品の年齢別使用状況を見ると、最も後発医薬品の利用が進んでいるのは100歳以上の高齢者で、薬剤料ベースの割合が30.7%となっている。一方で、15歳以上20歳未満の若年層では13.9%と最も低い割合にとどまっている。これは、高齢者向けの医療費削減策として後発医薬品が積極的に使用されている一方で、若年層では新薬の使用率が相対的に高いことを示している。
また、薬効分類別に見ると、後発医薬品の薬剤料総額は875億円で、前年同月比38億円の増加となった。特に「循環器官用薬」が265億円、「中枢神経系用薬」が158億円、「消化器官用薬」が104億円と、慢性疾患治療に用いられる薬剤の後発医薬品利用が進んでいることが分かる。
このような調剤医療費の増加傾向は、企業の健康保険負担にも影響を及ぼしている。企業の採用担当者にとっても、従業員の健康管理を強化し、予防医療を促進することがコスト削減につながる重要な課題となる。特に、慢性疾患の予防やメンタルヘルス対策の強化は、医療費の抑制に貢献し、従業員の生産性向上にも寄与する。
また、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、電子カルテやAI診断、オンライン服薬指導などの導入が進んでおり、医療機関におけるIT技術者の需要が増加している。今後、医療とデジタル技術を融合した新たな人材の確保が、医療業界の競争力強化につながると考えられる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ