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2025年8月24日

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令和6年 ストレスチェックの実施率は65.3%、大規模事業所では89.8%が制度を導入済み

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令和6年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が実施した「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果が公表されました。メンタルヘルス対策の実施状況、高年齢労働者への安全対策、化学物質のばく露防止、長時間労働の実態などが明らかになり、企業の安全衛生管理の現状と課題が浮き彫りになっています。


厚生労働省は、全国の労働環境の実態を把握し、安全衛生施策の充実に役立てるため、令和6年に労働安全衛生調査(実態調査)を実施しました。この調査は、常用労働者を10人以上雇用する民間事業所を対象に無作為に抽出された約1万4千事業所、及びそれに雇用される常用労働者・派遣労働者約1万8千人の中から得られた8,304事業所と8,596人の有効回答を基に分析されています。

調査結果によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は全体で63.2%となっており、前年調査から0.6ポイント減少しました。事業所の規模別に見ると、労働者が50人以上いる事業所では94.3%と非常に高い割合で取り組まれている一方、10~29人の事業所では55.3%と半数強に留まっています。企業規模によって対策への取り組みに差があることが浮き彫りになっています。また、メンタルヘルス対策を実施している事業所のうち、ストレスチェックを実施している割合は全体で65.3%と前年とほぼ変わらない水準で推移しており、制度の定着がうかがえます。

次に、高年齢労働者への対応に関する調査では、60歳以上の労働者が働いている事業所のうち、「エイジフレンドリーガイドライン」の存在を認識している事業所は21.6%にとどまり、さらに実際に高年齢労働者向けの労働災害防止対策に取り組んでいる割合は18.1%と低水準であることが明らかになりました。ただし、具体的な対策内容としては、高年齢者の身体的特性を考慮した作業管理を実施している事業所が62.9%と最も多く、着実に現場での配慮が進んでいる様子も見受けられます。

化学物質のばく露防止に関しては、法的義務の対象ではないが危険有害性がある化学物質を取り扱っている事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所は66.4%でした。前年と比較して9.2ポイント減少しており、情報提供体制に関して見直しや改善が求められる状況です。SDSは化学物質の安全な取り扱いのために必要不可欠な情報を記載した文書であり、労働者の健康と安全を守るためには確実な運用が求められます。

また、働く人個人の長時間労働の実態についての調査では、過去1年間に1か月間で80時間を超える時間外・休日労働があった労働者は1.5%でした。前年の2.2%からやや改善傾向が見られますが、そのうちすべての該当月で医師による面接指導を受けた労働者は12.6%と依然として低水準にとどまっています。労働者の健康リスクに直結するこの点については、より積極的なフォローアップ体制が求められます。

今回の調査結果からは、企業における安全衛生への取り組みが一定の水準で浸透している一方で、規模による格差や対策内容の偏り、制度の形骸化といった課題も浮き彫りになっています。特に中小規模事業所におけるメンタルヘルス対策や、高年齢者への安全配慮、化学物質に対する正確な情報提供などは、今後の重点的な支援・啓発が必要です。

厚生労働省は、こうした実態をもとに今後の労働安全衛生行政をさらに充実させる方針で、政策策定の基礎資料として本調査結果を活用していくとしています。安全で健康的な職場環境の整備は、すべての働く人にとって極めて重要であり、企業にとっても持続可能な経営の鍵となることは言うまでもありません。

この記事の要点

  • 令和6年労働安全衛生調査の有効回答は8,304事業所と8,596人
  • メンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合は全体で63.2%
  • 50人以上の事業所では94.3%がメンタルヘルス対策を実施
  • ストレスチェックの実施率は全体で65.3%と前年とほぼ同じ
  • 60歳以上の労働者がいる事業所のうちエイジフレンドリーガイドラインを知っているのは21.6%
  • 高年齢者向けの災害防止対策を行っている事業所は18.1%
  • 危険有害性がある化学物質へのSDS交付率は66.4%で前年より9.2ポイント低下
  • 80時間超の長時間労働経験者は1.5%、そのうち医師の面接指導を受けたのは12.6%

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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